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<スズケンDIアワー> 平成14年2月21日放送内容より スズケン

第22回日本臨床薬理学会の話題


聖マリアンナ医科大学 薬理学 教授
小林 真一

日本臨床薬理学会の働きと歴史


(プログラム要旨)

 昨年末、横浜にて第22回日本臨床薬理学会年会が開催されました。私はその年会の会長を務めさせて頂きました、聖マリアンナ医科大学の小林と申します。
 今晩はこの臨床薬理学会年会についてお話させて頂きます。

 さて、臨床薬理学会といっても、どのような学会なのか具体的には知らない方も多いと思います。
 最近、エビデンス・ベイスト・メディスン:EBMが言われるようになり、日常診療においてもエビデンス、つまり根拠に則った治療、薬物の使用が求められるようになりました。
 しかし、このような科学的な根拠は最終的には患者さんを対象とした臨床試験でしか得ることは出来ません。つまり、患者さんに適切な治療をするための科学的なデータは患者さんの協力による臨床試験なくしては出せないのです。
 その研究をするのが臨床薬理学です。
 日本臨床薬理学会の年会は今年で22回目になりますが、その歴史について少し触れておきます。
 1969年、今から約30年前に初代会長の砂原先生は「科学的根拠に立脚した薬物治療学、また新薬の開発に関わる治験の適正な実施」をめざし、本学会の前身「臨床薬理研究会」を設立されました。
 その11年後の1980年に、この研究会は発展的に解消し、初代会長を木村栄一先生とする日本臨床薬理学会が設立され、1992年には清水直容先生が会長になり第5回世界臨床薬理学会議も横浜で開催されました。
 近年「優れた新薬を患者のもとへ」を合言葉に、世界で新薬を開発できる科学的力と経済力を有するアメリカ、ヨーロッパ、そして我が国で、新薬に関わる規制をハーモナイズしました。
 その結果、我が国でも1997年に治験実施の基準が改められ新GCPが施行されました。この新GCPの施行が我が国の臨床試験の実施体制に大きな影響を与えました。
 臨床試験の適正な実施のためには被験者となる患者のケア、データマネジメントをする専門の人が必要であり、医師以外にも、薬剤師、さらに治験コーディネータとして看護婦などの活用が不可欠となりました。
 そして、いかに患者さんに臨床試験を理解してもらうか、そのためには具体的にどうしたら良いかを検討してきました。
 しかし、実際にはなかなかうまくは進みませんでした。なぜかと言えば私達はいつも研究者の立場、医師の立場で物事を考えていたからです。つまり、患者さんは臨床試験を理解してくれていなかったのです。
 多忙な医師には現状の医療体制のなかで、患者さんに十分説明する時間がない。また患者さんの立場になると医師には聞きにくい、等々の理由をあげればきりがありませんが、要するに患者さんの理解と協力がなければ臨床薬理学は成立しないのです。


(患者主体の臨床薬理学)


提供 : 株式会社スズケン


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