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<スズケンDIアワー> 平成14年6月6日放送内容より スズケン

病態シリーズ(18)
間質性肺炎


帝京大学 内科 教授
大田 健

間質性肺炎の症状

 いずれの場合にも乾性の咳嗽が主体になります。また、患者さんは息切れということを自覚するようになり、しかもその息切れというのは、身体を動かしたとき、即ち体動時により強く感じられることから始まります。
 最初は「運動不足かな」というふうな形で把握され、医師が尋ねた場合にも、「最近運動してないから、どうも息切れがするんです」と言った形で表現されます。そこで、そのまま息切れを運動不足として捉えるのではなくて、乾いた咳と息切れがある場合には、必ず胸の写真を撮ってみることが必要になります。
 その前に診察の手順としては、理学的所見をとるわけですけれども、特に背中の側でファインクラックル(断続性ラ音)を聴取いたします。この音は身体を後傾、即ち半坐位にして聞きますと、より強調されます。即ち、ファインラックルは肺胞の壁がつぶれた状態から、吸気時に広がる、その時の壁の広がる音であろうと言われております。
 レントゲン写真におきましては、いろいろな形をとりますが、間質性肺炎の場合には、いわゆるエアーブロンコグラムを伴うような斑状の肺胞性の陰影と異なり、線状、編み目状の網状、あるいは蜂の巣のような、いわゆる輪状の陰影など間質性の陰影を認めるのが特徴的です。また疾患によっては、すりガラス状の陰影もその中に重なってまいります。

(図:通常の肺炎ild2)
通常の肺炎
(図:間質性肺炎ild39)
間質性肺炎

間質性肺炎で特に問題とされる疾患

 特発性間質性肺炎の中で特に問題になっております、いわゆるIPF(特発性肺線維症)という範疇に入る疾患では、輪状影が特徴的であります。そして、これは肺底部にみられ、び漫性に輪状影を伴う間質性肺炎の患者さんにおきましては、病理学的には、UIP(usual interstitial pneumonia)である、というふうな形で捉えてよろしいと思います。
 その他、特発性間質性肺炎には、近年、新しい分類に基づいて、分類不能の間質性肺炎NSIP(nonspecific interstitial pneumonia)あるいはDIP(desquamative interstitial pneumonia)というふうに昔からいわれているもの、リンパ球の浸潤を主体するLIP(lymphocytic interstitial pneumonia)といわれるもの、そして呼吸細気管支のところの間質性肺炎 RBILD(respiratory bronchiolitis-associated interstitial lung disease)というふうな新しい範疇に捉えられるものもございます。
 RBILDとそれからDIPというのは、喫煙とかなり関連性があるというふうに捉えられています。急性に増悪するUIP症例、あるいは突然発症した間質性肺炎、これらの症例においては、共通した病理像がみられております。
 この場合にはDAD(diffuse alveolar damage)び漫性肺胞傷害という所見が病理学的にみられ、患者さんはまるで水浸しになった肺のようになってまいります。このときのメカニズムとしましては、び漫性に肺胞壁の傷害が起こることによっていわゆる毛細血管からの水分漏出、そして、肺胞内が水で満たされた状態が起こっていると考えられまして、例えば敗血症、あるいは重症の肺炎などに伴っておきます急性呼吸促迫症候群 ARDS(acute respiratory distress syndrome)と同等の病理像を呈するということになります。
 そしてこれが、いきなり起こった場合には急性間質性肺炎AIP(acute interstitial pneumonia)というふうな形で捉えられる訳でございます。息苦しいという状態を客観的に捉えるために動脈血のガス分析を行いますと、特発性間質性肺炎、あるいは間質性肺炎の患者さんでは、二酸化炭素が低下し、なおかつ酸素分圧も低下するというふうな形でI型の呼吸不全パターンをとります。即ち肺胞腔内とそれから動脈血中の酸素分圧、この間の差であるAaDOを計算いたしますと、開大がみられます。
 即ち、肺胞隔壁の病変によって気腔とそれから毛細血管との間の隔壁が肥厚し、距離が増大して、酸素の浸透が悪くなる、拡散が悪くなった状態を示唆しております。換気血流の不均等に基づく、あるいは拡散障害に基づく所見であるというふうに考えられます。そして、これに対処するためには、酸素が積極的に投与されます。通常は二酸化炭素の貯留があまり起きませんから、酸素を目標にして酸素療法が行われます。呼吸機能検査を行いますと、拡散の減少ということで、DLCOの低下というのがみられます。
 また、肺が縮んでまいりますと、肺活量が低下し、いわゆる拘束性の換気障害のパターンを呈する訳です。
 私たちの経験では、胸の写真に間質性の陰影が出現するよりも少し早く、拡散能の低下を認めるということを認めております。


提供 : 株式会社スズケン


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