| <スズケンDIアワー> 平成14年6月6日放送内容より |
![]() |
|||
| ||||
![]() 通常の肺炎 |
![]() 間質性肺炎 |
特発性間質性肺炎の中で特に問題になっております、いわゆるIPF(特発性肺線維症)という範疇に入る疾患では、輪状影が特徴的であります。そして、これは肺底部にみられ、び漫性に輪状影を伴う間質性肺炎の患者さんにおきましては、病理学的には、UIP(usual interstitial pneumonia)である、というふうな形で捉えてよろしいと思います。
その他、特発性間質性肺炎には、近年、新しい分類に基づいて、分類不能の間質性肺炎NSIP(nonspecific interstitial pneumonia)あるいはDIP(desquamative interstitial pneumonia)というふうに昔からいわれているもの、リンパ球の浸潤を主体するLIP(lymphocytic interstitial pneumonia)といわれるもの、そして呼吸細気管支のところの間質性肺炎 RBILD(respiratory bronchiolitis-associated interstitial lung disease)というふうな新しい範疇に捉えられるものもございます。
RBILDとそれからDIPというのは、喫煙とかなり関連性があるというふうに捉えられています。急性に増悪するUIP症例、あるいは突然発症した間質性肺炎、これらの症例においては、共通した病理像がみられております。
この場合にはDAD(diffuse alveolar damage)び漫性肺胞傷害という所見が病理学的にみられ、患者さんはまるで水浸しになった肺のようになってまいります。このときのメカニズムとしましては、び漫性に肺胞壁の傷害が起こることによっていわゆる毛細血管からの水分漏出、そして、肺胞内が水で満たされた状態が起こっていると考えられまして、例えば敗血症、あるいは重症の肺炎などに伴っておきます急性呼吸促迫症候群 ARDS(acute respiratory distress syndrome)と同等の病理像を呈するということになります。
そしてこれが、いきなり起こった場合には急性間質性肺炎AIP(acute interstitial pneumonia)というふうな形で捉えられる訳でございます。息苦しいという状態を客観的に捉えるために動脈血のガス分析を行いますと、特発性間質性肺炎、あるいは間質性肺炎の患者さんでは、二酸化炭素が低下し、なおかつ酸素分圧も低下するというふうな形でI型の呼吸不全パターンをとります。即ち肺胞腔内とそれから動脈血中の酸素分圧、この間の差であるAaDO2を計算いたしますと、開大がみられます。
即ち、肺胞隔壁の病変によって気腔とそれから毛細血管との間の隔壁が肥厚し、距離が増大して、酸素の浸透が悪くなる、拡散が悪くなった状態を示唆しております。換気血流の不均等に基づく、あるいは拡散障害に基づく所見であるというふうに考えられます。そして、これに対処するためには、酸素が積極的に投与されます。通常は二酸化炭素の貯留があまり起きませんから、酸素を目標にして酸素療法が行われます。呼吸機能検査を行いますと、拡散の減少ということで、DLCOの低下というのがみられます。
また、肺が縮んでまいりますと、肺活量が低下し、いわゆる拘束性の換気障害のパターンを呈する訳です。
私たちの経験では、胸の写真に間質性の陰影が出現するよりも少し早く、拡散能の低下を認めるということを認めております。
| 前項へ | 1 2 3 | 次項へ |