→ 番組表はこちら
→ ストリーミング版はこちら
<スズケンDIアワー> 平成14年6月20日放送内容より スズケン

ニューキノロン系注射薬
パズフロキサシン


東京専売病院 院長
島田 馨

静注用ニューキノロン薬の開発

 パズフロキサシン(PZFX)は本邦で2番目の静注用ニューキノロンであります。最初の静注用キノロンは、シプロキサン(CPFX)でありますがニューキノロンのほとんどは日本の製薬メーカーで開発されたものでありましたが、日本では用途が経口投与に限られておりました。しかし、欧米では古くから経口投与とともに静注の検討も進められており、幾つかのニューキノロンでは経口薬と静注薬とが実用化されております。その使い方をみますと、腹部の術後感染、院内肺炎などの院内感染や尿路感染、あるいは骨髄炎などニューキノロンの適応のある疾患で入院した人には、まず静注で数日間投与し、解熱して経口投与や退院ができるようになりましたら、同じ種類の経口ニューキノロンに切り替える、いわゆるスイッチ療法が主体で、これは医療経済の観点からも推奨されているのであります。
 ところが日本では、まずニューキノロンはβラクタム薬に比べて安全性が懸念されていること。それから二つ目は、経口ニューキノロンは腸管吸収がよくて、これを静注した場合の血中濃度と経口投与を比べましても、大きな差がないこと等から、長い間静注薬の開発が見送られてきたのであります。そして、ニューキノロンの静注薬が世に出た場合、その適応はβラクタムが無効な重症感染症に限る、という考え方が日本では強く、本邦ではじめて静注薬の臨床試験が行われた時、これは十数年前、シプロキサンで行われたのでありますが、この日本での臨床試験では極めて重い症例に使われたこともあってか、ショックなどの死亡例も出まして、臨床試験が一時中断されたのであります。しかし、その後欧米での臨床成績を参考に、適応を中等症以上の感染症として慎重に治験を再開し、シプロキサン静注は日本でもβラクタム薬等の抗生物質耐性菌感染に一昨年から使用できるようになったのは、ご存知の通りであります。

(表:PZFXとCPFXの血中濃度比較)

提供 : 株式会社スズケン


1 2 3 次項へ