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<スズケンDIアワー> 平成14年8月15日放送内容より スズケン

ヒスタミン拮抗薬
ロラタジン


獨協医科大学 耳鼻咽喉科・気管食道科 教授
馬場 廣太郎

アレルギー性鼻炎の発症機序と抗ヒスタミン薬の作用機序

 ところで、ロラタジンは第2世代抗ヒスタミン薬に分類されると申し上げました。ここで少し、アレルギー性鼻炎に用いられる薬剤の分類についてお話ししたいと思います。アレルギー性鼻炎は、ハウスダスト、ダニなどを抗原とする通年性アレルギー性鼻炎と、花粉などを抗原とする季節性アレルギー性鼻炎に分類されますが、季節性アレルギー性鼻炎の大部分は花粉症であります。
 これらの抗原による、鼻粘膜をアレルギー反応の場とする疾患がアレルギー性鼻炎で、反復性くしゃみ発作、水様性鼻漏、鼻閉が3大症状であります。抗原刺激によって肥満細胞や好塩基球から遊離されるケミカルメディエーター、すなわち、ヒスタミン、ロイコトリエンなどが鼻症状を起こします。中でもヒスタミンは、アレルギー性鼻炎を起こす重要な因子で、鼻粘膜に分布する知覚神経であります三叉神経末端のヒスタミンH1受容体と結合することによって、鼻のかゆみ、くしゃみを誘発すると同時に、反射性に鼻汁分泌をもたらします。アレルギー性鼻炎でのくしゃみ、水様性鼻漏はヒスタミンの作用によって起こりますので、ヒスタミンH1受容体をブロックする薬、すなわち抗ヒスタミン薬が古くから治療薬として使われてまいりました。
 古典的な抗ヒスタミン薬は、くしゃみ、水様性鼻漏には十分効果を発揮することから汎用されておりますけれども、欠点も指摘されております。まず、中枢神経への作用から鎮静作用、すなわち眠気が強いことから、日常生活への支障をきたすことがあり、自動車の運転や危険を伴う作業をする際の服用には不適当であります。
 また、抗ヒスタミン作用と同時に抗コリン作用をもっているため、緑内障や前立腺肥大などの下部尿路狭窄のある方への投与は禁忌でありますし、喘息の患者さんでは、喀痰を出すことが困難になるため、使用することができません。作用の面でも、くしゃみ、水様性鼻漏とは発症機序が異なっており、ヒスタミンだけではなくロイコトリエンなどのケミカルメディエーターが鼻粘膜血管に直接、作用して起こる鼻閉に対しては、十分な効果を得ることが出来ないこともあげられます。
 この抗ヒスタミン薬と、全く作用機序の異なる薬剤でありますクロモグリク酸ナトリウム、インタールが1975年に発売されました。ケミカルメディエーターの遊離を抑制することによってアレルギー疾患に効果を発揮するというものであります。これは局所使用薬でありましたが、その後、内服用の薬剤も開発されて、抗アレルギー薬と呼ばれるようになりました。
 一方では、抗ヒスタミン薬の改良、進歩も著しいものがありまして、中枢作用である眠気を取り除くこと、抗コリン作用を排除して選択的にヒスタミンH1受容体に拮抗すること、作用時間を長くすること、ケミカルメディエーター遊離抑制作用や好酸球遊走を抑制する作用を導入して、鼻閉に対しても効果を得ること、などが開発、研究の目標であります。こうして開発された薬剤は、抗ヒスタミン作用と同時に、いわゆる抗アレルギー作用をもつこととなったため、抗ヒスタミン作用をもつ抗アレルギー薬と呼ばれるようになりました。
 しかし、少なからず混乱をきたしたことも否めず、主たる薬理作用による分類が求められるようになり、クロモグリク酸ナトリウムやトラニラストなどはケミカルメディエーター遊離抑制薬、フマル酸ケトチフェン以後の抗ヒスタミン作用をもつ抗アレルギー薬は第2世代抗ヒスタミン薬、あるいはヒスタミンH1拮抗薬に分類するようになりました。これにともなって、第1世代抗ヒスタミン薬は、マレイン酸クロルフェニラミンやフマル酸クレマスチンなど、単に抗ヒスタミン薬といわれていたものを指すようになりました。

(図:「アレルギー性鼻炎用抗アレルギー薬」


提供 : 株式会社スズケン


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