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<スズケンDIアワー> 平成14年9月19日放送内容より スズケン

病態シリーズ(19)
チャーグ・ストラウス症候群


順天堂大学 膠原病内科 教授
橋本 博史

チャーグ・ストラウス症候群(CSS)とは

 Churg-Strauss症候群(以下、CSSと略す)は、1951年にChurgとStraussがアレルギー素因を有し、細小血管の肉芽腫性血管炎と血管外肉芽腫をみる疾患を結節性動脈周囲炎(現在は結節性多発動脈炎、PN)より分離・独立させた疾患で、別名、アレルギー性肉芽腫性血管炎(以下、AGAと略す)とも呼ばれています。細小血管を同様に侵すウェゲナー肉芽腫症や顕微鏡的多発血管炎とともに抗好中球細胞質抗体(ANCAと略す)陽性を認め、これらはANCA関連血管炎と呼ばれることがあります。病因は不明ですが、ここではCSSないしAGAの病態・病理、臨床的特徴、診断、治療を中心に述べたいと思います。

CSSの病因と発症機序

 CSSは比較的稀な疾患で、1993年の日本における1年間の受療患者数は450名です。好発年齢は40歳代ですが、いずれの年齢層にもみられ、男女比は1:1です。
 病因としては気管支喘息をはじめアレルギー性疾患が先行することからI型アレルギーの関与が示唆されています。即ち、アレルギー体質を有する患者が気道より抗原の刺激を受けますと、気道粘膜やマスト細胞、マクロファージ、T細胞、好酸球などからケモカインであるエオタキシンが産生され、これにより好酸球が動員され、種々のサイトカインにより好酸球の活性化がもたらされます。好酸球からは組織障害性の好酸球顆粒蛋白やサイトカインである主要塩基性タンパク質、好酸球陽イオンタンパク質、好酸球ペルオキシダーゼ、好酸球由来神経毒タンパク質、血小板活性化因子などが分泌され、気管支喘息の悪化と末梢神経障害、心筋障害などの病変に関与します。また、抗原刺激によりTNFαやIL-1β、IL-8などの炎症性サイトカインが産生されますが、好中球活性化に伴う脱顆粒や免疫複合体沈着による血管内皮細胞障害は壊死性血管炎につながります。また活性化されたT細胞からはマクロファージ走化性因子、マクロファージ活性化因子、IL-5などが産生されマクロファージを活性化し、肉芽腫形成の要因となります。肉芽腫形成には、血管病変部における貪食能をもった単球の流入と集積、幼弱化単球と成熟マクロファージの凝集と組織化、最終的には類上皮細胞への発達の過程が存在いたします。IL-5は、また好酸球の動員にも関与いたします。血管内皮より産生されるマクロファージコロニー刺激因子はマクロファージの傷害部位への浸潤につながります。
 CSSの誘因のひとつに、最近、気管支喘息治療薬のロイコトルエン拮抗薬の関与が示唆されています。
 病理所見では、壊死性血管炎に加えて、好酸球に富む肉芽腫を形成し、これは必ずしも血管炎と関連せずに認められます。壊死性血管炎には二つの型が認められ、一つは中・小筋型動脈に好発し、血管壁に肉芽腫を形成する肉芽腫性血管炎で、もう一つは小・細動静脈に好発し、血管壁にフィブリノイド壊死を伴うPN型の血管炎です。いずれも好酸球の著しい浸潤をみます。肉芽腫性血管炎における肉芽腫性病変は、主に中膜に分節状の好酸球壊死を呈し、これを中心に組織球浸潤や間葉性細胞の増殖、特に多核巨細胞の出現をみます。壊死部には好酸球性陽イオンタンパク質が多量に存在します。
 臨床経過では、気管支喘息を含むアレルギー性疾患、好酸球増多が先行し、続いて種々の血管炎症候、肺浸潤が出現します。気管支喘息は必ずしもアトピーとは限りません。発熱、体重減少、関節痛、筋肉痛、紫斑などの全身症状とともに多発性単神経炎による血管炎症候で発病することが多いのです。

(図1:「Churg-Strauss症候群の病態発症機序(仮説)」)


提供 : 株式会社スズケン


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