 アロマターゼ阻害薬エキセメスタン
大阪大学 腫瘍外科 講師
田口 哲也
エキセメスタンの副作用
エキセメスタンは、その構造にステロイド骨格を有しますが、いわゆるステロイド作用はなく、副腎皮質ステロイド剤のような副作用は認めません。わずかにアンドロゲン作用を持つため、脱毛などを認めますが、骨に対しては保護作用があると考えられています。国内と海外の1000人以上を対象とした臨床試験の報告では、副作用発現率は40〜47.5%で、頻度が5%以上の副作用は多汗、めまい、悪心、高血圧、ほてり、疲労感でした。しかし、グレード3以上の重篤なものは、わずか二人にしか認められませんでした。

以上のようにエキセメスタンは、新しいタイプのアロマターゼ阻害薬として、閉経後の転移再発乳癌治療に今後有用と考えられます。さらに、欧米で進行中の術後補助療法や術前ホルモン療法の臨床試験の結果が期待されていて、適応の拡大が見込まれています。特に術前ホルモン療法では、非ステロイド系アロマターゼ阻害薬とハーセプチンとの併用が、HER2陽性乳癌に対してタモキシフェンよりも、よい効果を認めたという報告が現れ、アロマターゼ阻害薬の役割が、今後さらに拡大していくものと思われます。
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