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<スズケンDIアワー> 平成14年10月31日放送内容より スズケン

薬事法改正


厚生労働省医薬局審査管理課
東 健太郎

「バイオ・ゲノムの世紀」に対応した安全確保対策の充実

 生物由来製品とは、細胞、組織、血液などに由来する原材料を用いて製造される医薬品・医療機器であり、医薬品の場合は血液製剤、ワクチン、遺伝子組換え製剤などがあげられます。また、医療機器の場合はブタ人工心臓弁や再生医療として開発が期待されているヒト培養皮膚などがあります。これらの製品は、高い有効性が期待されるものの、生物組織を原料とすることに伴い、ウイルスなどの感染リスクなどを完全には否定できないという特徴を有しています。このため薬事法において明確な位置付けを行った上、医薬品・医療機器などの分類にかかわらず、生物由来であるという共通の特性に着目し、製造から市販後までの各段階において、一定の上乗せ規制を設けることとしております。具体的には、例えばリスクの高い生物由来製品については、事後的に感染が判明した場合に、遡及調査を確実に実施できるような仕組みを導入することとしています。

「市販後安全対策の充実と製造承認制度の見直し」

 医薬品・医療機器に係る現行の承認・許可制度は、製品開発者が自ら製造所を保有することを前提とし、製造所を単位とする制度体系になっています。薬事法が制定された昭和30年代においては、製造される医薬品の品質を確保する観点から、このような制度が適切であったわけですが、時代も当時とは大きく変わり、いくつかの問題点が指摘されています。
 第一として、これまでの許認可制度がものの品質、有効性、安全性を重視した規制となっており、市販後の安全対策についての許可要件が不十分ではないか、ということです。これまでの薬事法改正により医薬品等の安全対策の充実が図られてきたところですが、依然として副作用報告や不具合報告件数、また回収件数は増加の傾向にあり、市販後の安全対策がこれまで以上に重要になってきたという認識があります。
 第二が制度の国際的整合性の問題です。医薬品などの規制について日本のように製造承認、製造許可制としている国はありません。欧米では、販売するものを承認し許可するという販売承認制をとっております。医薬品等の流通が国際化している現在においては、基本的制度を整合させる必要があるということです。
 第三が、製造承認、製造許可制は時代に合わないものとなっているという認識です。分社化や製造の委受託など多様な活動を行おうとする現在の企業にとって、許認可を受けにくい構造になっているのではないか、という問題です。
 このため、製造だけでなく市場への製品供給能力に着目した承認制度(元売承認制度)へと移行することとし、これにより企業側の市販後安全対策をより重視する許認可制度を構築し、また企業を巡る環境変化を前提として、個々の企業がそれぞれの特徴を生かして製品を提供できるような仕組みとしております。
 以上、3つの柱の内容を盛り込んだ改正薬事法は、平成14年7月31日に公布されております。改正薬事法のうち、「生物由来製品に係る安全確保対策の充実」の部分は公布から1年以内に、「医療機器に係る安全対策の抜本的見直し」と「市販後安全対策の充実と製造承認制度の見直し」の部分は公布から3年以内に施行することとしております。
 これら三点の柱の内容の他、改正薬事法では医療機関が自ら行う臨床研究のうち承認申請を目的とするものについて、薬事法上の治験の概念に含めるよう規定を整備しています。これにより、治験届を提出し臨床試験実施基準を遵守することを条件に、医療機関が行う臨床研究に未承認の薬物・機械器具等を提供することが認められることになります。この規定については、未承認の薬物の臨床研究への提供については公布から1年以内に、未承認の機械器具等の提供については公布から3年以内に施行することとしています。


提供 : 株式会社スズケン


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