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<スズケンDIアワー> 平成14年11月7日放送内容より スズケン

第12回日本医療薬学会年会


九州大学付属病院 薬剤部 教授
大石 了三

医療と健康へのさらなる貢献

 第12回日本医療薬学会年会を2002年10月19・20の両日、福岡市天神のアクロス福岡とエルガーラホールにおいて開催しました。病院薬剤師をはじめ、大学の教官・学生、薬局勤務の薬剤師、製薬企業の学術担当者など2500名を超える多くの参加を頂き大変盛会でした。
 本学会は、1991年から10年間、日本病院薬学会として活動してきました。会員は、ほとんど病院薬剤師でしたが、薬剤師活動の学術的基盤はすべての薬剤師に共通していますし、また薬学における医療薬学の教育・研究とも密接な関係にあります。そのため2001年から日本医療薬学会と名称を変更しました。幅広く薬剤師、薬系大学の教官や学生にも参加していただき、共に医療薬学の発展に寄与しようとしたわけです。
 今学会のメインテーマは「医療と健康へのさらなる貢献」に設定いたしました。また同じタイトルで年会長講演を行いました。
 医学が目覚ましい進歩を遂げ、いろいろな医薬品が開発されてくると、どうしても高度な内容の薬剤師活動が要求されてきます。複雑な医療の中で、リスクマネジメントの観点からも薬剤師の活動に大きな期待がなされています。このような薬剤師活動を行うための学術的基盤が医療薬学です。薬剤師の活動は医療薬学の実践そのものともいえます。
 しかし、薬剤師に対する期待の膨らみとは逆に、医療環境の悪化という状況のもとで、薬剤師が厳しい立場に置かれていることも事実です。従って、さらに積極的な活動に加えて、その活動が医療に欠かせないことをアピールし、社会に認めてもらうことがもっと必要です。医療と健康へのさらなる貢献を示すこと、それが今回のメインテーマの主旨でした。このメインテーマに沿って、3つのシンポジウムが行われました。
 特別講演では、九州大学名誉教授・九州中央病院病院長の杉町圭蔵先生から、ロボット手術、遺伝子診断、遺伝子治療など、がん治療の最前線のお話に加え、肝移植や最近の医療鑑定についてもお話いただきました。また先生は、インフォームドコンセントの重要性についても述べられ、これまでのご自身の長い臨床経験において裁判沙汰などの患者とのトラブルは一度もなかったことを紹介されました。
 教育講演では「薬物アレルギー」を九州大学の古江増隆教授に、「育薬をすすめるために薬物動態学をどう活用するか?」を九州大学の澤田康文教授に、また「新しい薬物療法のための創薬・製剤技術」を東京薬科大学の岡田弘晃教授に講演いただきました。
 本学会年会の一般演題の数は、一昨年の京都での年会が487題、昨年の東京の年会が536題と、このところ毎年約50題ずつ増加していましたが、今回の九州における開催でもさらに増えて、過去最高の582題に達しました。毎年、予想をはるかに越える演題数、参加者数を考えますと、本学会に対する期待が極めて大きくなりつつあることを感じます。
 一般演題の約80%は病院薬剤師による発表でしたが、15%は大学からの発表でした。その中でも、長期病院実習を行った医療薬学系大学院生による発表や、大学と病院薬剤師との共同研究が多数を占めました。日本医療薬学会が、薬剤師活動を支援する学会として定着しつつあることを感じました。
 薬剤師全体の数から考えれば、まだまだ少ない参加者数ではありますが、演題数の急激な増加は、学会が急激に発展していることを示す証ですし、薬剤師や医療薬学関係者自らが、日本医療薬学会を盛り上げようという気迫を感じました。


提供 : 株式会社スズケン


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