→ 番組表はこちら
→ ストリーミング版はこちら
<スズケンDIアワー> 平成14年11月14日放送内容より スズケン

キャンディン系抗真菌薬
ミカファンギン


川崎医科大学 呼吸器内科 講師
二木 芳人

我国における深在性真菌症

 本日は2002年12月6日に発売されてた新しい注射用抗真菌薬ミカファンギンについてお話を申し上げる訳ですが、その前にその治療対象となる深在性真菌症の現状と問題点について少しお話ししたいと思います。
 深在性真菌症は、内臓真菌症とも呼ばれるものですが、同じ真菌、平たく言えばカビの感染症でも皮膚に生ずる表在性の感染症と区別して使われる言葉です。わが国における深在性真菌症は、そのほとんどが白血病やAIDSの患者あるいは移植患者などでの免疫不全状態にみられる日和見感染的なものであります。無論一部には健康人に感染するような感染力の強い真菌もあり、わが国ではクリプトコッカスがその唯一の真菌ですが、諸外国ではヒストプラズマ症やコクシディオイデス症など、風土病的に健康人にも感染を生ずる真菌が少なからず存在しています。
 さて、今お話ししましたように、わが国での深在性真菌症は免疫不全患者の日和見感染と言うことになりますが、最近は医療の高度化に伴い、強力な抗癌化学療法の実施、骨髄や臓器移植の一般化、さらにはHIV感染患者、高齢人口の増加などにより、本症を発症する可能性のある患者が増加しているのが現実です。事実、近年では深在性真菌症は各科領域における重要な感染合併症の1つとして臨床医にも広く認識されるようにもなっています。
 ただ、嘗ては深在性真菌症とは、多くの場合がいわゆる終末期感染症ととらえられ、診断も死後の剖検でつけられるようなことが多かったのですが、臨床医の認識の高まりと同時に、各種診断法も進歩しており、その結果生前診断の比率も高まっていますので、早期の積極的な治療によって救命できる患者数も増しています。しかし、進歩したとは言ってもまだまだその診断は容易ではなく、又、治療の方法においても問題が数多く残されていることも事実です。というのも、1つには深在性真菌症を発症するような患者は、何らかの免疫不全や危険因子を持っているわけですので、それだけでも感染症は重症化し易く、又、難治化傾向を示します。さらに、今ひとつ大きな問題はそれを治療する主役である抗真菌薬が、これまでわが国ではわずか5薬剤しかなく、それぞれに優れた特長はあるものの、やはり一部の深在性真菌症治療では十分な効果が期待できなかったからです。


提供 : 株式会社スズケン


1 2 3 次項へ