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<スズケンDIアワー> 平成14年11月28日放送内容より スズケン

新薬の薬価算定根拠について


日本大学 薬学部 教授
白神 誠

新薬の薬価算定ルール

 今回から新しいシリーズとして、新薬の薬価算定根拠について解説していきたいと思います。薬価は、ご承知のように保険診療を行った際に、保険請求する薬剤の金額のもととなる価格です。新薬の薬価は、その薬を発売する製薬会社と厚生労働省との間で交渉が行われ、最後に中央社会保険医療協議会(中医協)の了解のもとに決定されます。したがって、価格の折り合いがつかなければ薬事法で承認された薬であっても薬価基準に収載されない。すなわち、保険診療では使えないということが生じます。

(資料1「薬価の収載手続き」)

 薬の価格は、その医療上の価値を反映したかたちで決められますので、その算定根拠を知ることで逆にその薬の治療上の位置付けや特徴を知ることができます。新薬の薬価は、製薬会社と厚生労働省との間の交渉を通して決定されると申しましたが、実際には薬価を算定するためのルールが非常に細かく決められていて、ほとんど交渉の余地がない状況にあります。
 今日はシリーズの第1回目ということもあり、新薬の薬価算定ルールについて簡単に解説したいと思います。新薬の薬価は、原則すでに薬価基準に収載されている薬の中で、「使用目的や薬理作用などが最も似ている薬と同一の価格とする」という考え方で決められています。これを類似薬効比較方式と呼んでいます。ここで「同一の価格」というのは、1日当たりに必要とされる薬の費用(1日薬価といいます)を同一にするということです。ですから、1日1錠で治療する薬と1日3錠で治療する薬とを比較する場合には、1錠と3錠の価格を同額にしますので、1錠当たりの価格では見掛け上、3倍の開きがあることになります。そして薬価算定の際に対象とした類似薬を上回る何か、例えば有効性とか安全性の点で優れている点が認められれば加算が行われます。
 薬価基準の中に類似の薬が見つからない場合は、止むを得ないので製造原価から経費を積み上げていく原価計算方式が行われます。物の値段ですから原価計算方式の方が、理屈に合っているように思われるかもしれませんが、薬の価値を効果の強さや安全性の程度が違うにも関わらず、その製造原価や流通経費だけで決めるのは適切だとは思いません。また現実問題として、製薬企業はその医薬品だけを販売しているわけではありませんので、特定の品目についての流通経費などを求めることは困難です。そこで可能な限り類似薬効比較方式が用いられています。ところで、同じ製品が海外でも販売されている場合には、類似薬効比較方式、原価計算方式に拘わらず、算定された価格について、海外で販売されている価格との間で調整が行われ、最終的な薬価が決定されます。

(資料2「新医薬品の薬価算定」)


提供 : 株式会社スズケン


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