→ 番組表はこちら
→ ストリーミング版はこちら
<スズケンDIアワー> 平成14年12月19日放送内容より スズケン

慢性心不全治療薬
カルベジロール


大阪大学大学院 病態情報内科 教授
堀 正二

慢性心不全の一般的薬物療法

 慢性心不全は、心機能の低下により全身の臓器や組織に必要充分な血液が供給できない状態と定義されますが、その病態の特長はまず、左室機能の低下が見られること、2つ目は運動耐容能が低下していること、3つ目は突然死による死亡が多いということです。慢性心不全の中には、左室の収縮機能があまり低下せず、拡張機能の障害によって心不全を発症するタイプも少なからず存在することがわかってきましたが、今日はそのような拡張機能障害による心不全には触れないで、主として収縮機能障害による心不全の治療についてお話をしたいと思います。
 従来は、心臓弁膜症とくに僧帽弁膜症が多く、右心不全の症例を多くみましたが、最近は虚血性心疾患や拡張型心筋症など左心不全患者が増えています。海外では心筋梗塞が多く、虚血性心疾患による慢性心不全が大半を占めていますが、わが国ではその頻度は欧米ほど高くありません。いずれにしても左室収縮能が低下して心不全症状を伴っている症例は日常診療でもよくみられます。現在、このような慢性心不全の治療は利尿薬とACE阻害薬が第一選択薬であり、それにジギタリスを加えるのが一般的治療法として推奨されています。
 うっ血症状の軽減には、利尿薬が極めて有効でありますが、最近の大規模臨床試験の成績からサイアザイドやループ利尿薬に加えて、抗アルドステロン作用をもつ利尿薬としてスピロノラクトンを加えることが予後改善に有効であることがわかっています。ジギタリスは洞調律の慢性心不全患者を対象としたDIG試験の結果、予後は改善しないが、心不全の悪化による入院は減少したという成績が得られましたので利尿薬とACE阻害薬に加えて、ジギタリスを投与するのが一般的治療法と考えてよいでしょう。ACE阻害薬の予後改善効果は多くの大規模臨床試験で検証されており、軽症から重症まであらゆる重症度の慢性心不全に有効であることはすでにご存知の通りであります。


提供 : 株式会社スズケン


1 2 3 次項へ