 フェルカルボトラン
奈良県立医科大学 放射線科 講師
廣橋 伸治
肝腫瘍の診断法
肝臓は人間の臓器の中で最大のものです。肝臓では今わかっているだけでも、約500種類の仕事を同時に行っています。実験室でやろうとすると何年もかかる難しい化学反応も、肝臓では1分もかからないうちに行うことができます。そのため肝臓は人体の化学工場とも呼ばれています。
このように肝臓は重要な臓器ですが、最大の臓器であるだけに必然的に腫瘍が発生する頻度は高くなってきます。従って肝臓に生ずる腫瘍の診断は医学の中で重要な位置を占めています。
特に、日本人に多い肝細胞癌の診断は非常に重要な課題でありますし、消化器をはじめとする様々な臓器に生じる悪性腫瘍の肝臓への転移である転移性肝腫瘍の診断も重要であります。
ではこれら肝腫瘍の診断は如何に行われているのでしょうか?
肝臓の腫瘍を発見する方法としては腫瘍マーカーなどの血液検査もありますが、現時点では大きな腫瘍でしか有用性を発揮できません。従って様々な画像診断を用いて小さな肝腫瘍を如何に診断するかがより重要なのであります。
肝腫瘍の画像診断として最も良く用いられているのは腹部超音波検査です。腹部超音波検査は開業医から特定機能病院まで日常診療のスクリーニング検査として大きな役割を果たしております。その腹部超音波検査の次に施行されている検査としてはX線を用いたコンピューター断層撮影であるX線CTと磁石を用いて生体の断層像を撮像する磁気共鳴画像(MRI)があります。
MRIにはX線CTのような電離放射線被曝がなく肝臓を含めた全身の断層像を撮像する事が出来ます。また、T1時間やT2時間などといった情報が画像化され軟部組織間のコントラストが良いのが特徴であります。そのため当初は造影剤なしで用いられてきましたが、造影剤の登場により飛躍的に診断能が向上しました。
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