→ 番組表はこちら
→ ストリーミング版はこちら
<スズケンDIアワー> 平成15年1月23日放送内容より スズケン

DI実例集(139)


東京医科大学病院 薬剤部 主査
小林 仁

インスリン製剤の歴史

 本日は、『インスリン製剤の進歩』についてお話したいと思います。インスリンは1921年、二人のカナダ人、バンティングとベストにより発見されました。当時のインスリンは、牛の膵臓から抽出されたもので、不純物を多く含むため効果が不安定で、アナフィラキー反応等のアレルギー反応を避けられませんでした。1926年にインスリンの結晶化に成功しますが、まだ不純物を含み、作用時間が短いものでした。1936年、インスリンにプロタミン(サケ科の成熟した精巣に含まれる塩基性のタンパク質)を添加すると、皮下からの吸収が遅延し、作用が持続することが発見されます。また、プロタミンインスリンに少量の亜鉛を加えると作用時間が、より持続することが発見されます。また1946年にはプロタミンの量を調節することにより、プロタミン亜鉛インスリンより作用時間の短いNPHインスリンが発見され、インスリン療法の中心として最も多く使用されるようになります。1952年、プロタミンを使用せず亜鉛のみで沈殿が形成されるレンテ系インスリンが開発されます。1959年、ブタインスリンとウシインスリンの溶解度の違いを利用した二相性インスリンが開発されます。
 インスリンの発見当初より、糖尿病の治療にはウシやブタではなく、ヒトインスリンが適切と考えられていましたが、当時の技術では実用化に至りませんでした。近年の遺伝子工学の発展は、インスリン製剤の躍進に大きく貢献します。大腸菌を宿主にしたプロインスリン法(1981年)、イースト菌を宿主にしたミニプロインスリン法(1986年)により、ヒトインスリンの生合成を可能としました。

(資料1:「インスリン治療の進歩」)


提供 : 株式会社スズケン


1 2 3 次項へ