→ 番組表はこちら
→ ストリーミング版はこちら
<スズケンDIアワー> 平成15年1月30日放送内容より スズケン

ニューキノロン系抗菌薬
プルリフロキサシンの概要


小田切呼吸器科クリニック 院長
横浜市立大学第一内科 客員教授
小田切 繁樹

プルリフロキサシンの概要

 本日の主題であります経口NQ、プルリフロキサシンの概要について申し述べます。
 一般に抗菌薬の臨床の場における位置づけ、即ちDrug-positioningについては、(1)抗菌力(2)血中濃度(3)感染巣部への移行(4)副作用、の4点が分かれば、その抗菌薬の臨床における、おおよその位置づけがわかるとされております。そこで、本薬のこれら4点についてみてまいります。

(1)抗菌力について
 主な臨床分離株に対する本薬のMIC80は、グラム陽性球菌では、黄色ブ菌と化膿レンサ球菌は共に0.25γ/ml、肺炎球菌と腸球菌は共に1γであり、グラム陰性菌では、インフルエンザ菌、クレブシエラ、大腸菌、プロテウス・ブルガーリス、エンテロバクター・エロゲーネス、サルモネラ、シゲラなどは全て0.015γ以下、モラキセラ・カタラーリス0.06γ、シトロバクター、エンテロバクター・クロアーカーは共に0.125γ、セラチア1γ、緑膿菌はオフロキサシン感性株では0.25γ、オフロキサシン耐性株では16γです。以上を要約しますと、本薬はグラム陽性球菌に対してはガチフロキサシン、スパロフロキサシン、トスフロキサシンよりは抗菌力は劣るものの、レボフロキサシン、シプロフロキサシンなどとほぼ同等の抗菌力を有します。一方、グラム陰性桿菌に対しては、既存のNQと同等以上の極めて強力な抗菌力を有し、特に緑膿菌に対する抗菌活性は、経口NQの中で最も強力であります。

(資料2:「臨床分離株(in vitro)」)

(2)血中濃度
 本薬活性体100mg投与時のCmaxは0.68±0.33γ、200mgのCmaxは1.09±0.41γ、500mgでは1.88±0.6γ、と最高血中濃度は用量依存的に上昇します。T1/2は7.7〜8.9時間、最高血中濃度に達するまでの時間Tmaxは1.3〜0.7時間です。

((資料3:「血漿中濃度」)

(3)感染巣部への移行
 既述の血中濃度は感染巣部へ移行する抗菌薬のおおよその目安を示しますが、NQとマクロライド薬には、好中球に入り込んで感染巣部に到達する謂ゆるPhagocyte deliveryがあり、更にRTIでは気管支粘液腺からも分泌されて気道に入りますので喀痰中の本薬濃度は、血中濃度を上回ることになります。本薬の体液と臓器・組織への移行は、髄液を除けば良好であり、特に胆汁・胆のう組織へは極めて高濃度に移行します。
 以上の優れた抗菌活性と良好な体液・組織移行から、本薬開発時の臨床試験の成績は、呼吸器感染症では、急性気道感染症231例の有効率90.0%、同様に慢性呼吸器疾患の二次感染430例では86.7%、肺炎245例では92.2%で、呼吸器感染症906例全体の有効率は89.1%と良好な成績でした。同様に、腎盂腎炎・膀胱炎・前立腺などの尿路感染症747例の有効率は81.1%、感染性腸炎54例では98.1%、外科領域の肛門周囲膿瘍と外傷・熱傷・手術創などの表在性二次感染の81例では86.4%、胆道感染症30例では90.0%、婦人科領域感染症83例では96.4%、耳鼻科領域感染症141例では79.4%、眼科領域感染症34例では91.2%と、いずれも良好な成績をおさめました。
 次いで、細菌学的効果についてみますと、臨床全域における主な分離株の消失率は、黄色ブ菌209株で85.2%、肺炎球菌92株で84.8%、モラクセラ・カタラーリス30株で100%、インフルエンザ菌127株で96.1%、クレブシエラ属101株で96.0%、大腸菌327株で97.3%、エンテロバクター属61株で91.8%、シゲラ属30株で100%、セラチア属38株で86.8%、緑膿菌127株で54.3%と、菌消失率は良好な成績でした。

(4)安全性について
 副作用は、安全性評価対象症例2,936例中131例、4.46%に発現しました。主なものは腹痛・下痢・嘔気など消化器症状で、一番問題となる中枢神経症状は24例、0.82%の発現で、この大半は頭痛であり、めまい・ふらつきは合わせて7例、0.24%で痙攣の発現例はありませんでした。臨床検査値異常は2,584例中148例、5.73%に発現し、主なものはAST上昇、ALT上昇などで、特に問題となるものはありませんでした。

(資料10:「副作用の種類及び発現率」「臨床検査値異常変動の種類及び発現率」)

 このように、副作用と臨床検査値異常を合わせた安全性につきましては、既存のNQとほぼ同様であると言えましょう。
 以上の、本薬の抗菌活性と良好な体内動態に、臨床広域に至る臨床試験成績をふまえて、本薬の発売が承認されたわけでございます。


提供 : 株式会社スズケン


前項へ 1 2 3 次項へ