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<スズケンDIアワー> 平成15年2月13日放送内容より スズケン

サリドマイドを考えるシンポジウムより


帝京大学 名誉教授
清水 直容

サリドマイドと未承認医薬品の個人輸入

 そこで、話はこのサリドマイドに移りますが、ご存知の通り、サリドマイドは1950年代から60年代にかけまして、ドイツで市販されました。催眠鎮静薬として使用されておりまして、これが効果としては、もちろん睡眠薬でもありますし、妊娠女性のつわりなどにも効くということで、大々的に宣伝されたため、妊娠している方での使用が非常に悲惨な結果を生みました。世界中で約7,000名以上と推定される、いわゆるサリドマイド奇形児(アザラシ四肢症ともいいます)が、発生いたしまして、日本でも約300人あまりの患者が発生いたしました。これにつきましては訴訟が起こされ、最終的には和解が成立しました。現在の医薬品の承認制度、また安全対策に対して、非常に大きな影響を及ぼした医薬品でございます。若い先生方には、そのサリドマイド事件というのは、印象を強くお持ちではないかも知れませんが、ある意味では有害反応について非常に有名な薬でありますので、ある年齢以上の方には「あの薬は」と名前を聞いただけでも処方(もちろん現在処方はできないわけですが)するのをためらうかもしれません。これは、この薬効薬理から見ましても血管新生を抑制するということで、腫瘍の薬、抗腫瘍薬、特に多発性骨髄腫につきましてはかなりの成績が出ておりまして、従来の医薬品で無効になったもの、あるいは併用療法によりまして、その寛解率などもかなり良い成績であります。
 今日はその成績については立ち入ることはやめますけども、昨年(2002年)のある情報によりますと、このサリドマイドが外国(特にブラジルあるいは英国)から15万錠以上輸入されていることが明らかにされております。そこで、問題になりますのが未承認医薬品というものを、そういう状態で使用していてよろしいかということであります。そのために3つの団体から厚生労働省に緊急要望が出されました。その3つの団体と申しますのは、一つはそのサリドマイドによって悲惨な奇形を持って生まれられました方々、患者の会(財団法人いしずえ)でありますが、その他に多発性骨髄腫患者及び家族の会(日本骨髄腫患者の会)、これはむしろ使用したいという方々でございます。もう一つの団体は日本薬害オンブズパースン会議という医薬品の有害反応について常に監視するという団体でございます。

(資料4:「3団体からの要望趣旨」)

 その3つの団体が緊急要望を渡されましたので、今回のシンポジウムもその3団体、厚生労働省の安全対策課、先程の学会長といった方々とこの問題につきまして考えるシンポジウムが開かれたわけであります。
 現在のこれに対する厚生労働省の対策でございますけれども、この実態調査のために、サリドマイドのみならず、未承認医薬品の個人輸入による使用実態及び適正使用のあり方に関する調査研究を行う研究班ができ、全国の約427の施設にアンケートを送りました。3月24日までにそのアンケートの結果をいただきまして、それが実態の調査、未承認医薬品のあり方について、どういう展望が開けるかというのが現在の状態でございます。


提供 : 株式会社スズケン


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