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<スズケンDIアワー> 平成15年2月20日放送内容より スズケン

夜尿症治療薬
酢酸デスモプレシン点鼻スプレー


埼玉県立小児医療センター 院長
赤司 俊二

夜尿症の病因・病型分類

 最初に、最近の夜尿症の病因、病型分類についての考え方をお話しします。
 以前は、夜尿症の病因として心理的要因が強調されていましたが、最近の考え方は遺伝的背景にもとづく睡眠中の排尿機構発達の個人差であると考えられています。
 一般的には2〜3歳頃には昼間の排尿が自立し、それから数ヶ月ないし1年程度遅れて夜尿も消失します。夜尿が消失するためには夜間尿量の減少と夜間膀胱容量増加の2つの機能発達が必要となります。夜間尿量の調節は経口水分量、塩分量、蛋白量とともに脳下垂体後葉から分泌されている抗利尿ホルモンが行っています。膀胱の蓄尿、排尿は副交感神経、交感神経、随意神経により行われています。この夜間尿量の減少あるいは膀胱容量の増加が未発達であると、睡眠中に膀胱容量以上に尿が貯まることにより尿意が発生し、生理的に眠りが深い小児では覚醒することができずに夜尿となります。
 夜尿症はこのように排尿機構のうち、夜間尿量と膀胱容量から、夜間尿量の多い型(多尿型)、膀胱容量の少ない型(膀胱型)、両者がみられる型(混合型)およびいずれにも該当しない正常型の4つの病型に分類されます。

(資料5:「夜尿症の病型」)

 脳下垂体から分泌される抗利尿ホルモンは夜間睡眠中に増加しますが、この日内リズムは3〜4歳にできあがります。夜間尿量の多い夜尿症はこの夜間の抗利尿ホルモンの分泌増加が不十分なために夜間にうすい尿を多量にしています。膀胱容量の少ない夜尿症は副交感神経の作用が強く、膀胱の平滑筋の収縮が強まり、少ない尿量で尿意が強くなり、尿道括約筋による排尿抑制も不十分で膀胱容量が少なくなっています。
 一般的に、小学校入学以後も夜尿のあるものを夜尿症と言いますが、大部分はその後も排尿機構の発達とともに自然経過で自立するため、夜尿症指導の基本は「あせらず」、「おこらず」、「おこさず」の3原則で、その3原則に病型にもとづいた具体的な生活指導を行います。
 具体的な生活指導としては、夜間多尿がある夜尿症には(1)1日の塩分摂取量を減らす。(2)夕方からの水分摂取を減らすことを指導します。
 膀胱容量の低下がある夜尿症には(1)昼間の排尿を我慢する。(2)排尿を中断するなどの排尿抑制訓練を行います。
 これらの生活指導でも夜尿の改善がみられない場合に薬物療法を行います。
 夜尿症に用いられる薬剤はいずれも対症療法で、生活指導の効果をでやすくするためのものであり、夜尿症に対して薬剤を使用する場合には、まず生活指導が十分行えることが前提となります。使用する薬剤としては、夜間多尿がある夜尿症には抗利尿ホルモン剤、膀胱容量の低下している夜尿症には抗コリン剤、比較的程度の軽い夜尿症には三環系抗うつ薬が中心です。


提供 : 株式会社スズケン


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