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<スズケンDIアワー> 平成15年2月27日放送内容より スズケン

日本臨床薬学会より
遺伝子情報に基づく個別化医療


大阪大学大学院 臨床薬効解析学 教授
東 純一

 網羅的な解析により、疾病と関連する遺伝子を発見する。その遺伝子を標的として医薬品候補物質を創製するのが「ゲノム創薬」であると言えると思います。本日は二つの言葉「薬効ゲノム」及び「ゲノム与薬」という言葉を提起し、遺伝子情報に基づく医薬品の選択と投与量設定について述べ、遺伝子情報の臨床現場への還元についてお話ししたいと思います。

医薬品の有効率について

 同量の薬を投与したとき、全ての人に有効な医薬品というのは存在しません。現時点では、いかなる薬物治療も100%の有効率には達せず、必ず薬の効かない人、ノンレスポンダーが存在します。喘息、癌、うつ病、糖尿病、消化性潰瘍、高脂血症等に対する医薬品の有効率は大体、数十%ぐらいであるといわれています。

(資料1:「ノンレスポンダーの比率」)

 一方、薬物による副作用に遭遇する人の頻度は比較的少ないようですが、確実に存在します。合理的な医療というのは、科学的に検証されたエビデンスに基づく治療法Evidence Based Medicine(EBM)の選択にあるという考えには論をまたないと思われます。このような薬物応答性の違いの要因の一つに遺伝的素因があります。もし、ある医薬品に対して有効性の高い人を前もって選別できれば、治療早期からより効率のよい、かつ安全な薬物処方が可能となります。効果のない人に対してどのように対応するか、またどのようにして副作用を回避するかが、今後の医薬品治療の問題点であろうと考えられます。

ファーマコジェノミクスとは

 そこで、最近ファーマコジェノミクスという言葉をよく耳にするかと思いますが、このファーマコジェノミクスとはどういうことかと申しますと、「ザ・ファーマコジェノミクス・ジャーナル」という雑誌は、次のような論文を採用するといっております。
 その一つは、薬物の特性、毒性または有効性と遺伝的要因との関連性。
 次に、遺伝子多型に関する研究。
 薬物動態、薬力学の個人差・民族間差に関する研究。
 そして、ゲノム科学の臨床的適応、これには医薬品開発のターゲットも含まれます。
 このようなものを研究するのがファーマコジェノミクスであろうと考えられます。

(資料2:「Evaluation of drugs & genetic Information」)


提供 : 株式会社スズケン


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