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<スズケンDIアワー> 平成15年3月20日放送内容より スズケン

遺伝子診断と医薬品の適正使用


神戸大学附属病院薬剤部 助教授・副薬剤部長
栄田 敏之

医薬品の適正使用とは

 2001年、人体の設計図にあたるゲノムの解読がほぼ終了し、既にポストゲノム時代に突入しております。これらの研究成果の影響を最も強く受けるものは、病気の原因解明、診断、治療といった医学薬学の分野であり、近い将来、患者さんの遺伝的体質に合わせた治療、いわゆるテーラーメイド医療、もしくはオーダーメイド医療が提供されることについては論を待ちません。ヒトの約29億塩基対の中に約150万ヶ所存在するとされるSNPやその他の多型が、個人の遺伝的特徴や疾患感受性のみならず薬物治療効果をも決定すると考えられており、現在、世界中で、遺伝子診断に基づく医薬品の適正使用に関する研究が盛んに行われております。
 医薬品の適正使用とは、的確な診断に基づいて個々の患者さんの状態にかなった最適の薬剤、剤型と用法用量が決定されること、正確に調剤されること、患者さんが十分理解された上で正確に使用されること、その治療効果や副作用が的確に評価されること、からなる一連の作業を指します。しかしながら、これまでの薬物治療は、おおむね画一的な用法用量で実施されており、不十分な治療効果もしくは予期しない副作用を経験し、必然的に用法用量の見直し、場合によっては治療薬剤の変更が行われてまいりました。“医者の匙加減”という言葉に象徴されるように、患者さん個々に対して最も適切な薬剤を選択し、必要十分量を過不足なく投与することの重要性については従来から十分に認知されております。そして、この究極の目的を最も合理的に実行する手段として、まさに遺伝子診断が注目されているのであります。具体的には、患者個々について、薬物代謝酵素、薬物輸送担体、薬物受容体などをコードする遺伝子の遺伝子型を調べることにより、薬物投与前に患者さんの薬物動態学的特性もしくは薬動力学的特性を判定して、最適な薬剤を選択し、最適な用法用量を決定することが可能になると考えられております。


提供 : 株式会社スズケン


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