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<スズケンDIアワー> 平成15年4月10日放送内容より スズケン

DI実例集(140)
ニフェジピンカプセルの舌下投与の安全性について


北里研究所病院 薬剤部長
厚田 幸一郎

ニフェジピンの作用機序

 ニフェジピンの舌下投与が繁用されてきた背景には、使用法が簡便で、吸収が速やかであることに加えて、他の薬剤、例えばニカルジピン、ニトログリセリンは静脈内投与に血圧のモニタリングが必要ですが、ニフェジピンの舌下投与時には厳格なモニタリングは必要ないと言われてきたことにも起因しています。
 しかし、その一方で降圧速度や程度が調節できないため、過度の低血圧、急性心筋梗塞、狭心症様発作、伝導障害、脳梗塞、意識消失、死亡等の重大な副作用も多く報告されており、投与の是非が問われていました。
 ニフェジピンカプセルは、血管拡張作用が強く速やかな降圧作用を示しますが、急激な降圧に伴い、冠灌流圧が低下し、冠血流量が減少する可能性が考えられます。また、反射性交感神経緊張が誘発され、心拍数・心拍出量の増大、酸素消費量の増大、ひいては心筋や脳をはじめとする重要臓器の虚血状態を来す危険性が示唆されています。心筋虚血症状の発現は、投与量に依存するとされていますが、低用量の投与でも左心室肥大等の既往のある患者や高齢者では同様の症状が発現することが報告されており、心血管系疾患の既往を持つ患者や高齢者に対して短時間型ニフェジピンを投与することは非常に危険です。またニフェジピンの舌下投与が、手技的に簡便であるため安易に行われやすいこと、ニフェジピンによる血圧低下は応急処置レベルのものだとして投与後の厳重なモニタリングが喚起されていないこと、なども有害作用を引き起こす要因となっているという指摘もあります。
 さらに、舌下という投与経路に関しても、ニフェジピンの口腔粘膜からの吸収はわずかで、大部分は消化管から吸収されており殆ど意味はないか又はかえって吸収を遅らせているとする報告もあります。また、臨床での慣例が先行し、その有用性を示した報告は殆どないため評価は難しいとする意見もあります。


提供 : 株式会社スズケン


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