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<スズケンDIアワー> 平成15年4月24日放送内容より スズケン

透析患者の高リン血症治療薬
塩酸セベラマー


信楽園病院 副院長
鈴木 正司

生体におけるリンのバランスと高リン血症

 新しいリン吸着薬、塩酸セベラマーについてお話申し上げます。生体でのリンバランスの維持は、食べ物からの摂取、糞便、尿中への排泄で行われています。平均的な1日のリン摂取量はおよそ1,200mg、尿中へは800mg、便中へは400mgの排泄がございます。リンの尿中への排泄は、副甲状腺ホルモンが尿細管での再吸収を抑制することで排泄を促進させております。腎機能が40〜30%以下に低下した場合は、副甲状腺ホルモンがいくら頑張っても尿中へのリン排泄が追いつかなくなります。透析患者では、尿排泄ルートが失われますが、かわりに透析によるリン除去ができます。透析によるリン除去量は、1回でも最大1,000mg程度で、週3回で3,000mg程度しかありません。透析患者でも糞便中への排泄は不変ですから、2,800mg/週が排泄されます。したがって総排泄量は、最大5,800mg/週程度となります。その結果2,600mg/週のリンが体内に残留することになります。
 体内に残ったリンは高リン血症を引き起こしますが、その結果、リンが軟部組織に沈着して異所性石灰化を引き起こします。高リン血症では、同時に血清Caの低下、副甲状腺ホルモンの分泌促進、活性型ビタミンDの産生低下を起こします。
 この結果、二次性副甲状線機能亢進を誘発させることになります。また、カルシウムリン積の増加は、心臓冠動脈の石灰化の増加と関連するとの報告があります。つまり高リン血症は生命予後に大きく影響することを意味しております。
 次に、腎不全、特に透析患者での高リン血症対策を考えてみましょう。食事からのリン摂取を低下させるため、1日1,200mgのリン摂取を800mgに低下させる低リン食が必要となります。その結果、1週間で5,600mgのリン摂取量となりますが、透析患者の週当り総排出量5,800mgとほぼ同等となります。さらに、透析でのリン排泄の増加には、透析時間・透析頻度の大幅延長が必要となります。実際、連日に7〜8時間の透析を行いますと、リン摂取を制限しなくとも高リン血症は生じないことが分かっております。しかし、このような治療は現実には困難なため、消化管でのリン吸収を抑制する対策が必要となります。


提供 : 株式会社スズケン


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