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<スズケンDIアワー> 平成15年6月19日放送内容より スズケン

DI実例集(141)
ゲフィチニブのその後


東京医科大学八王子医療センター 薬剤部
奥山 清

肺癌治療の現状とゲフィチニブ

 肺癌は世界中でもっとも死亡率の高い悪性腫瘍であります。日本においても1998年には男女共に悪性腫瘍による死亡原因の第1位となり、年間約50,000人の方がこの病によって亡くなっています。肺癌の中でも腺癌、扁平上皮癌などは臨床的な性質が似ており、一括して非小細胞肺癌と呼ばれています。非小細胞肺癌は肺癌全体の約80%を占め、早期発見が困難な上、化学療法への感受性も低いとされています。
 薬物療法としては従来から使用されているシクロフォスファミド、メソトレキセート、フルオロオラシル、ドキソルビシンなどの他、新たにイリノテカン、タキサン系並びにプラチナ製剤などを取り入れて、様々な併用療法が行われています。しかしながら、未だに十分な効果が得られていないのが現状です。
 このような中で開発されたのがゲフィチニブであります。
 この薬は、これまでとは作用機序の異なる分子標的薬剤であること、内服薬であること、臨床試験において高い有効性が認められたことなどが報道され、「夢の新薬」として脚光を浴びました。
 厚生労働省は異例の速さで審査を進め、2002年8月30日に「手術不能又は再発非小細胞肺癌」の効能を得て薬価基準に収載されました。ところが、発売後使用経験が積まれていく過程で、急性肺障害、間質性肺炎などによる多くの死亡例が報告され、一転して「乱用に注意」あるいは「危険な新薬」などの酷評を受けてしまったのはご存知の通りです。
 臨床の専門医からは、「発売当時は他の治療法がある患者でも『是非、ゲフィチニブで治療を』と希望されたのが、最近では、ゲフィチニブにしか希望が持てないような方でも『それだけは勘弁して下さい』と言われて説明に苦慮している。期待の持てる薬だけに残念だ」という声が聞かれています。


提供 : 株式会社スズケン


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