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<スズケンDIアワー> 平成15年7月3日放送内容より スズケン

乳がん治療薬
カペシタビン


埼玉医科大学 臨床腫瘍科 教授
佐々木 康綱

投与上の留意点

 注意すべきことは、欧米での本薬の投与方法が、一日当たり2500mg/m2を2週間連続で投与した後に1週間休薬するスケジュールが用いられているのに対し、本邦では対表面積に応じて一日あたり1800-3000mg/bodyを3週間連続投与し1週間休薬するスケジュールが採用されている点にある。すなわち本薬は、用法・用量がわが国とそれ以外の国とでは異なるために、欧米で報告された本剤を含む併用化学療法を安易に実地臨床で用いることは厳に慎まなければならない。ちなみに欧米における用量はやや高用量に設定されているため約半数の症例で用量の減量が余儀なくされている。かつてわが国では、エビデンスが乏しいにも関わらず副作用が少ないという理由で術後補助化学療法薬としてフルツロン®が安易に汎用された時代があった。カペシタビンについても現在までのところ術後補助化学療法としての位置付けは不明確である。これまでに乳がん術後化学療法は、CMF療法、CAF療法やこれらにTaxan系抗癌薬を追加する方法など標準的化学療法が確立している。このような条件下で新規抗癌薬である本薬を術後に安易に使用することは決してあってはならない。
 乳がんに対する新規抗癌薬としてのカペシタビンの登場は、確実に一定の治療成績の向上をわが国の乳癌患者にもたらすことが期待される。しかしながら本薬にも限界があるとともに、術前治療、術後補助化学療法、転移・再発症例に対する一次治療など有用性がいまだ証明されていない状況も存在する。本薬を適正に使用することにより、初めて患者に対する利益が担保されるものと思われる。


提供 : 株式会社スズケン


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