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<スズケンDIアワー> 平成15年7月10日放送内容より スズケン

大規模災害と医薬品について


浜松医科大学付属病院救急部 講師
吉野 篤人

医薬品の備蓄と搬送手段の確保

 さて、この時の経験や後の報告から大規模災害時の医薬品に関して、留意点をいくつか付け加えさせていただきます。まず、地震災害の特徴的な病態としてクローズアップされたクラッシュ症候群についてです。初期の病態として高カリウム血症が出現します。従いまして、2時間以上体の一部分を挟まれていた方には、輸液が必要ですがその場合は適当に混合液を選ぶということは許されません。カリウムを含まない輸液を選択しなければなりません。
 次は医薬品とは言えませんが、水の重要性です。テレビ報道などでは食料の不足が伝えられておりましたが、私たちの訪れた避難所の多くでは3日目には食料はやや過剰となっておりました。多くの避難所で「浜松から来たのか? ご苦労さん、まあ飯でも食っていかんか?」と山盛りのオニギリなどが出てきました。しかし、一方で水は不足していました。自衛隊の大きなトラックが小さな給水トレーラーを引いて、避難所にまわってきていましたが、震災5日目頃でも給水車を待つ人の行列をよく見かけました。
 次に災害時の医薬品の搬送について考えます。巡回診療の中で不足物品などが出た場合、道路渋滞がひどく拠点に戻ることは困難でした。そのため納得できる治療ができないことがありました。阪神淡路大震災以後、各地にボランティアのバイクチームができているようです。渋滞の影響が少ないため少量の医薬品を迅速に運ぶという点で、有利な方法と思われます。当時、このようなチームがあったならば大きな力になったかと思います。また、最近各病院では病棟や外来の医薬品の在庫を減らす傾向にあるようです。しかし、地震でエレベーターが止まった場合など8階、9階まで医薬品を届けることを考えますと、ある程度の病棟備蓄は必要ではないかと思われます。このあたりのバランスを考慮して、病棟在庫の量を決定する必要があるでしょう。
 まとまりのないお話になってしまいましたが、私自身の阪神淡路大震災での経験をもとに、大規模災害と医薬品のテーマでお話させていただきました。


提供 : 株式会社スズケン


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