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<スズケンDIアワー> 平成15年8月7日放送内容より スズケン

DI実例集(142)
喘息治療における長時間作用型吸入β2刺激薬


関西医科大学洛西ニュータウン病院 薬剤部 主任
山下 博民

β2刺激薬の薬理作用

 現在、本邦で使用できる長時間作用型吸入β2刺激薬にはサルメテロールがあり、フォルモテロールも現在は経口薬のみ発売されていますが、いずれ吸入薬も使用できるようになると思われます。その薬理作用は他のβ2刺激薬と同様に気管支平滑筋の弛緩、粘液線毛クリアランスの亢進、血管透過性の低下を引き起こすのと同時に、マストセルや好塩基球からのケミカルメディエーター遊離を調節します。そして、気管支拡張効果の持続時間は12時間以上示すことが報告されています。

(資料1:「長時間作用型β<small>2</small>刺激薬の比較」)

 サルメテロールとフォルモテロールの比較では、スライドに示すように効果発現はフォルモテロールの方が早く、効果持続時間では両者は同等もしくはサルメテロールの方が長いことが示されており、また、そのβ2受容体への選択性はサルメテロールの方が選択性が高く、現在ある中では最も選択性が高いβ2刺激薬です。
 また、長時間作用型吸入β2刺激薬に特徴的なものとして、すでにあげた作用に加えてステロイドを補完する抗炎症作用を有することが明らかにされました。
 この作用は、細胞内サイクリックAMPを持続的に増加させることによるものと考えられており、臨床でもサルメテロールは気管支粘膜下の好酸球浸潤を抑制することが知られています。また、ヒスタミンや抗原吸入の際に生じる血漿蛋白の血管外漏出を抑制し、粘膜の浮腫形成を軽減することが報告されています。しかしながら、長時間作用型β2刺激薬のこのような抗炎症作用の多くはステロイドとは異なる機序で、異なる部位に生じているとされておりその活性は、ステロイドの抗炎症作用に取って代わるものでなくステロイドを補完するものでしかありません。

吸入ステロイド薬との併用効果

 それでは、実際の臨床での使用について様々な研究が行われていますので、その点について紹介したいと思います。
 長時間作用型吸入β2刺激薬の長期管理薬としての役割は、吸入ステロイド薬と併用することによりその効果を補完するものです。これはイギリスにおける多施設共同試験で明らかになったもので、吸入ステロイド薬の標準量を用いて治療しても喘息のコントロールが得られない患者に吸入ステロイド薬の量を2.5倍にした群とサルメテロールの標準量を追加する群とに分けた場合、肺機能と症状の改善から判断するとサルメテロールを併用した群の方がよりすぐれた効果が認められました。

(資料2:「吸入ステロイド投与中の患者でサロメテロールを付加した場合と吸入ステロイドを倍量以上にした場合の改善効果」)

 さらに、この試験の後、複数の試験を解析したメタアナリシスが行われた結果をスライドに示します。このスライドの中で、下二段のfixed effect、random effectとされているものがメタアナリシスの結果で双方とも右側にポイントと95%信頼区間が寄っています。これはサルメテロール併用群において喘息症状の悪化の程度が吸入ステロイド薬を増量させる群よりも有意に低いことを示しており、サルメテロールの併用が吸入ステロイド薬を増量するよりも、より効果的であることを示しました。また、他の薬剤との比較においても、テオフィリンと比較したメタアナリシスの結果は、症状の改善、副作用の発現双方においてサルメテロール群で有用性が高いことが示されました。また、抗ロイコトリエン薬ザフィルルカストとの比較でも、サルメテロール群の改善効果が優れているデータが報告されています。これらのことを踏まえ、長時間作用型吸入β2刺激薬はGINA2002のなかで、中等度以上の喘息症状のある患者に対して、吸入ステロイド薬に付加する薬剤の第1選択薬として位置づけられています。特に欧米ではフルチカゾンとサルメテロールの合剤が臨床に使用されており、患者の利便性も高いとされています。


提供 : 株式会社スズケン


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