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<スズケンDIアワー> 平成15年8月7日放送内容より スズケン

DI実例集(142)
喘息治療における長時間作用型吸入β2刺激薬


関西医科大学洛西ニュータウン病院 薬剤部 主任
山下 博民

使用上の留意点

 しかしながら、長時間作用型吸入β2刺激薬の使用において注意しなければならない点があります。特に、喘息治療においては長時間作用型吸入β2刺激薬単剤での使用は避けなければなりません。この理由として、1996年7月にアメリカでスタートした「SMART」と呼ばれるStudyの中間解析において、吸入ステロイド薬を併用していた人では、致死的緊急事態発生率や喘息関連イベントの発生率に、サルメテロール群とプラセボ群の間で有意差はなかったが、吸入ステロイド薬を併用していなかった人では、喘息関連死がサルメテロール群で有意に多いことがわかりました。このことを受けグラクソスミスクライン社はアメリカにおいて2003年1月にドクターレターを発布し注意を促しています。
 また、吸入ステロイド薬の代用として、長時間作用型吸入β2刺激薬を使用することが可能かどうかを調べた試験においても、症状の悪化や治療の失敗例が長時間作用型吸入β2刺激薬群で多くみられたため、長時間作用型吸入β2刺激薬を吸入ステロイドの代用として用いるべきでないとされています。
 まとめとして、昨年より本邦においても新しい長時間作用型吸入β2刺激薬が臨床の場で使用できるようになりました。この薬剤の作用時間は12時間以上であり、従来の吸入β2刺激薬と異なり長期管理薬としての役割が期待されています。特に吸入ステロイド薬と併用することにより、ステロイドの効果を補完し、かつ増強する点でその極めた効果が欧米で既に実証されています。しかしながら、長時間作用型吸入β2刺激薬単独で使用した場合において、その効果は吸入ステロイド薬に及ばないばかりか、逆に喘息死を増加させてしまう危険性を持っています。このことから長時間作用型吸入β2刺激薬を気管支喘息の長期管理に用いる場合には、必ず吸入ステロイド薬のような抗炎症効果を持った薬剤と併用することが肝心です。この点に注意することで本邦でも長時間作用型吸入β2刺激薬が効果的に使用されることを期待します。


提供 : 株式会社スズケン


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