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<スズケンDIアワー> 平成15年8月21日放送内容より スズケン

関節リウマチ治療薬
インフリキシマブ


埼玉医科大学総合医療センター 第二内科 教授
竹内 勤

RAの現状認識

 本日は関節リウマチの新しい薬物「インフリキシマブ」についてご紹介申し上げます。まずその薬剤が登場した背景について簡単にご紹介申し上げます。
 関節リウマチというのは、実は重篤な疾患で進行性の病気である、という認識が広まってまいりました。そのひとつに生命予後が不良である、すなわち平均余命は十年短い。ほかの病気に例えるならば、悪性リンパ腫の一病型でホジキン病のステージIV、あるいは冠動脈疾患の3枝病変と同等であるというように言われております。また、機能的にも有効な薬物療法をいたしませんと、約50%の患者さんは十年後に寝たきりになると言われています。従いまして、このような疾患にかかる医療費は膨大です。しかも労働時間は少ない、ということでこの病気の重篤性が再認識されたわけでございます。しかも、関節破壊とは、実は病気が起こってから十年二十年して起こるのではない、病気のはじまり、すなわち発症二年以内に急速に関節が壊れはじめるという認識が広まってまいりました。
 そこで、そのようなリウマチの炎症、そして関節破壊を押さえることが患者さんの生活の質を保つ上で非常に重要だということになり、リウマチの炎症や関節破壊を強力に押さえる抗リウマチ薬の処方がはじまってきたわけです。特に、診断してから三ヶ月以内に、可及的速やかに抗リウマチ薬を投与する必要性が叫ばれはじめました。例えばアメリカリウマチ学会の治療ガイドライン2002年度版には、そのことが明記されております。

(資料2:「アメリカリウマチ学会治療ガイドライン」)

 そこで抗リウマチ薬を投与してリウマチ患者さんのリウマチの炎症を押さえるわけですが、もし抗リウマチ薬で炎症が抑えられなければ、関節が破壊され、そして生活の質が落ちるということになります。
 現状で使える抗リウマチ薬の力には限界がございます。例えば経口の抗リウマチ薬で標準的な薬剤であるメトトレキサートを投与し、それでコントロールされる症例というのは大体約50%と言われていますので、メトトレキサートでもコントロールできない、他の新しい抗リウマチ薬、(例えばレフルノミドというのが今年日本でも使えるようになりますが)これでもコントロールできないということになりますと薬剤としては、既にお手上げの状態となってまいります。そこで登場した切り札的な薬剤として、本日ご紹介申し上げるインフリキシマブがございます。

(資料3:「RAの病態と炎症性サイトカイン」)

 インフリキシマブというのは、生物学的製剤のひとつです。生物学的製剤とは、生物が産生する主にタンパク質を利用して薬剤化したもので、このインフリキシマブは抗体製剤です。
 リウマチの炎症には炎症性サイトカインという分子が非常に重要な役割をしていますので、これを徹底的になくしてしまえばリウマチの炎症をコントロールできるだろう、という考えに基づき、この炎症性サイトカイン、中でも非常に重要な役割をしている腫瘍壊死因子(TNF:Tumor Necrosis Factor)に対して抗体を作ったわけでございます。

(資料5:「抗TNF療法の作用点」)

 そのTNFによる炎症のさまざまなフェーズをこの抗体がブロックしてしまう、という戦略です。阻害はまずTNFをネズミに作らせます。従って最初は100%マウスのタンパクですが、これを患者さんに連続投与しますと、マウスに対する抗体が患者さんの血液に出てしまって薬剤としては使い物にならない。そこでなるべくマウスの成分を少なくした改良が加えられまして、25%マウスタンパク75%ヒトのキメラ型の抗体が作られました。このキメラ型の抗TNF-α抗体がインフリキシマブです。


提供 : 株式会社スズケン


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