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<スズケンDIアワー> 平成15年10月9日放送内容より スズケン

製剤の改良
包接化合物について


熊本大学大学院医学薬学研究部製剤設計学分野 助教授
有馬 英俊

包接化合物とは

 本日は、包接化合物を用いた製剤の改良というお話をさせて頂きます。包接化合物は、包接分子内部や分子集合体の内部に有する空洞に他のイオン、原子または分子などを識別し、種々の相互作用によって空洞内に取り込む化合物と定義されます。

(資料1:「包接化合物とは」)

その際、取り込む方の分子はホスト分子、取り込まれる方の分子はゲスト分子と呼ばれます。ここで、化学的に不安定な薬物や水に溶けにくい薬物がゲスト分子の場合、包接化合物であるホスト分子に包み込まれることにより、薬物の化学的安定性や水への溶解性が増大し、クスリの性質や有効性を改善することが可能となります。なお、多くの場合、包接複合体は一定組成比でホスト・ゲスト複合体をつくります。

(資料2:「代表的な包接化合物」)

 包接化合物の例と致しましては、皆さんが小学校の理科の時間に体験されたヨウ素一デンプン反応をはじめとして、尿素とオクチルアルコールとの包接化合物、グラファイトとアルカリ金属などとの層間化合物などが知られています。
 一方、医薬品に目を向けた場合、医薬品は言うまでもなく、安全性に裏付けられた有効性が保証されない限り存在しえないため、科学的に興味あるホスト・ゲスト現象が直ちに医薬品に利用できるとは限りません。たとえ可能性が見出されたと致しましても実際に医薬品として世に出るまでの道のりは極めて長く、9〜17年とも言われています。従って、学問的には興味深い研究でも、実用化された包接化合物はほとんどありません。また、薬物が人または動物に使用される場合には、その薬物の効果が十分に発揮でき、副作用が軽減でき、適用、保存に便利なように適切な形状、機能を付与した剤形が設計されることが望まれます。


提供 : 株式会社スズケン


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