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<スズケンDIアワー> 平成15年10月23日放送内容より スズケン

特定機能病院におけるDPC導入の制度について


東京医科歯科大学大学院医療政策学 教授
川渕 孝一

日本版DRGについて

 平成15年4月1日より、特定機能病院に対する入院基本料が廃止されました。その代わり、病気に応じて一定の金額が決められる医療機関別包括支払方式が導入されました。いよいよ「日本版DRG(Diagnosis Related Group)」であるDPCが、わが国の特定機能病院の支払い方式に導入されたわけです。DPCとは、Diagnosis Procedure Combinationの略で、厚生労働省が作成した新しい診断郡分類をいいます。問題は、この「日本版DRG」の導入によって何が変わるかということです。今日は、DPCに基づく支払い方式の論点とその対処方法について述べることにします。

医療機関別包括評価のポイント

 DPCに基づく包括評価のポイントは次の3点です。第一は、アメリカのDRG/PPS(Prospective Payment System)とは異なり、一件当たり定額払いではなく、患者一人一日当たりの定額払いとしている点です。実際、国立大学附属病院の患者一人一日当たりの入院単価を調べてみますと、最大値は44,474円で、最小値は35,764円でした。 一言で大学附属病院と言っても、随分バラつきが大きいことがわかります。さらに国立大学は、平成16年4月から独立行政法人に移行することが決まっています。そこで医業収入を医業費用で割って医業収支率をベースに医病のランキングを行いました。

(資料5:「医病の医業収支率」)

そうすると、筑波大学がトップで、次いで大分大学、山梨大学の順になっていました。と言っても、すべて100%を下回っており、国立大学附属病院には黒字病院は存在しないこともわかりました。これは、国立大学附属病院における医療の提供は、教育・研究と一体となって行われているために、診療収入だけではペイしないからだと言われています。その結果、国立大学附属病院には多額の一般会計繰り入れが行われています。しかし、だからと言ってこれが患者の属性を反映しているか、どうかは疑問です。そこで、厚生労働省は日本版DRGを使って予算配分を行おうと考えたわけです。より具体的には、特定機能病院に7〜10月分のデータ提出を求め、DPCの精緻化を行い、以前のDPC「α版」に代えて、2552項目からなる「β版」を公表しました。その中で、症例数の少ないものやバラつきの大きいものをカットして、1860分類を支払い方式として使っています。
 第二のポイントは、良質な医療を適切に評価する観点から、調整係数を設けたことです。

(資料3:「診断分類による包括評価に係る評価法」)

実際に作成されたのは「財政中立性」を確保するための係数のみでした。当初、重症患者・紹介患者の受け入れ実績、医療従事者の指導実績、新規技術の導入実績、医療安全対策の実績等を考慮することになっていましたが、導入されたのは現行の医療費を確保するための係数だけだったということです。これは、10数項目からなるアメリカのDRG/PPSの調整係数と大きく異なります。例えば、アメリカでは病床数に占める研修医の数や低所得者数の割合によって、一定の割増制度が設けられています。しかし、こうした調整係数については、次回以降の改正に持ち越されました。
 第三は当該医療機関に入院した患者については、選定療養として特別の料金を徴収することになっていましたが、これも反古にされた点です。これは特定機能病院については、いうなれば医療機関別包括評価に手を挙げた「見返り」として、“合法的な混合診療”である「特定療養費」制度を認めるものでしたが、これも次回以降の改定に持ち越されることになりました。


提供 : 株式会社スズケン


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