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<スズケンDIアワー> 平成15年11月6日放送内容より スズケン

注射剤の配合変化の予測


北海道大学病院 教授・薬剤部長
宮崎 勝巳

はじめに

 本日は「注射剤の配合変化とその予測」についてお話します。皆様ご承知のように、注射剤は一部の乳濁性、あるいは懸濁性注射剤を除きまして、殆どが完全に溶解した状態で生体に投与されます。
 従いまして、注射剤の配合によって成分が析出したり、沈殿したりしますと大変危険です。また、注射剤の配合によって化学的反応がおき、成分が分解したり、新しい生成物が生じたりしましても大変危険です。このように注射剤の配合変化を処方せんをみて監査することは、処方せんの監査権をも有している薬剤師の大きな使命でありましょう。

(資料1:「注射薬調剤の留意点〜注射剤の特徴」)

配合変化の様式と原因

 注射剤の配合変化の様式は、化学的配合変化と物理的配合変化に大きく分けられます。

(資料2:「注射剤配合変化の全体像」)

 はじめに化学的配合変化の代表例を配合変化の原因別に示します。グルコン酸Ca注とリン酸を含む輸液類の配合によって、難溶性の塩が生成します。また、微量金属元素製剤のエレメンミック注は、他の成分と難溶性のキレートを生成しますので、直接輸液に配合することになっています。イノバン注は塩基性注射剤との配合で酸化分解を起こし変色します。また、エステル構造を有するメシル酸ナファモスタット(フサン注)ですが、これは塩基性注射剤との配合で加水分解を生じます。そして、アンピシリンはブドウ糖含有の輸液中で酸化還元反応により分解します。
 以上のように、難溶性の塩やキレートを生成する反応で混濁したり、成分が沈殿する変化、あるいは酸化分解、加水分解、酸化還元反応で分解する変化を、化学的配合変化と言っております。

(資料6:「物理的配合変化の予測法」)

 次いで、物理的配合変化について説明いたします。ご承知のように注射剤を配合しますと、それぞれの注射剤のPHは配合によって変化し、混合液は新しいPHを有する配合液となります。一方、成分の濃度も、当然希釈されて変化します。そのとき、ある成分の濃度が配合後のPHにおける溶解度を下回っておりますと、溶解したままで成分は析出しません。しかしながら、成分濃度が溶解度以上の濃度であれば、成分は析出します。従いまして、物理的配合変化とは、配合後のPHと成分の濃度、および溶解度によって決定されます。


提供 : 株式会社スズケン


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