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<スズケンDIアワー> 平成15年11月20日放送内容より スズケン

話題の新薬2003−(3)


獨協医科大学 名誉学長
原田 尚

 今日は2003年度の第3回「話題の新薬」として、現在話題になっている新薬情報をご紹介いたします。

免役抑制剤「ミコフェノール酸モフェチル」

 最初に免役抑制剤「ミコフェノール酸モフェチル」についてお話します。この薬は、経口投与後すみやかに加水分解され、ミコフェノール酸として活性を示し、細胞内de novo系プリン合成経路を選択的に阻害することによって、活性化T及びリンパ球を選択的に阻害いたします。すでに1999年9月に腎移植後の難治性拒絶反応に対する治療薬として承認を受け、2000年12月には腎移植後の拒絶反応に対する抑制剤として認可されておりましたが、今回は「心・肝・肺移植後の拒絶反応に対する抑制剤」としての適応が追認されました。

(資料1:「ミコフェノール酸モフェチル」の構造式)

 用法・用量は、通常1回500〜1,500mgを1日2回12時間ごとに食後経口投与いたします。使用上の注意としては、重篤な消化器疾患のある患者、重篤な慢性腎不全患者、腎移植後の臓器機能再開が遅延した患者では、慎重に投与する必要があります。副作用は78%にみられ、その主なものは免疫グロブリン減少35%、高尿酸血症21%、白血球減少19%などであります。また、重大な副作用として感染症、汎血球減少、好中球減少、リンパ腫、皮膚悪性腫瘍、消化性潰瘍、消化管出血、穿孔などがあります。

透析患者用高リン酸血症治療剤「リン結合ポリマー;塩酸セベラマー」

 続きまして、透析患者用高リン酸血症治療剤「リン結合ポリマー;塩酸セベラマー」についてお話いたします。食物中に含まれるリンは腸管で吸収され、健康人では過剰なリンは尿中に排泄されますが、透析患者では腎機能の低下によってリンの排泄が障害されるため高リン血症を来します。高リン血症は二次性の副甲状腺機能亢進症や関節周囲・心血管系の異所性石灰化を起こし、骨病変や心血管系などに様々の障害をもたらします。
 従来わが国では、リン結合剤として乾燥水酸化アルミニウムゲルが広く用いられてきましたが、その蓄積によるアルミニウム脳症・骨症等が問題となり、1992年には使用禁止となりました。その後は炭酸カルシウム製剤が汎用されてまいりましたが、副作用として高カルシウム血症を来す欠点があります。
 この薬は消化管内で食物から遊離したリン酸イオンと結合した後、吸収されることなく糞便中に排泄され、リンの体内への吸収を抑制する新しいタイプのリン結合剤であります。

(資料2:「リン結合ポリマー・塩酸セベラマー」の構造式)

 効能・効果は、透析中の慢性腎不全患者における高リン血症の改善であります。用法・用量は、通常1回1〜2gを食直前に経口投与いたします。適宜増減しますが、最高用量は9g/日までといたします。基本的注意として、この薬は血中リンの排泄を促進する薬剤ではありませんので、食事療法等によるリンの摂取制限を考慮する必要があります。また、定期的に血清リンおよび血清カルシウム濃度を測定することが大事であります。さらにこの薬が腸管内で膨隆する恐れがあるため、便秘のある患者、または痔疾患のある患者、消化性潰瘍やその既往のある患者、高度の消化管運動障害のある患者では注意する必要があり、また出血傾向のある患者でも慎重に投与する必要があります。
 副作用は67%にみられ、その主なものは便秘増悪38%、腹痛17%、腹部膨満15%、その他嘔気、消化不良、下痢、嘔吐等であります。


提供 : 株式会社スズケン


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