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<スズケンDIアワー> 平成15年12月11日放送内容より スズケン

第13回日本医療薬学会年会報告


神戸大学 薬剤部長
奥村 勝彦

医療構造の変革と薬剤師のなすべくこと

 第一日目は私が年会長講演を行い、本年会のテーマである医療構造の変革と薬剤師のなすべき対応について私見を述べさせていただきました。

(資料1)

 少子高齢社会の進展によって世界的に医療保険制度が危機に瀕しており、外来治療や在宅治療など効率的医療が増えております。そのような社会情勢の中で薬剤師が如何に関与するかについていくつかの提言をさせて頂いたわけであります。特別講演は京都大学再生医学研究所の井上一知先生による「膵島再生医療の現状と展望」で、現在神戸や京都で急展開して注目を集めております再生医療の現状を膵臓に絞って解説頂きました。我が国では臓器移植がなかなか進展しないため、細胞移植や再生細胞移植の研究が進んでおり、将来的に極めて有望な分野になりつつあるとのことでした。この再生医療に関連する薬剤についても新しい分野として認識する必要がありましょう。
 シンポジウムはIが「薬学教育の6年制への移行」、IIが「専門薬剤師の育成〜癌化学療法を中心に」の2テーマで行われました。いずれも大変な盛況でありました。  まず、第一日目の「薬剤教育の6年制への移行」でありますが、日本薬剤師研修センター理事長の内山先生と昭和大学薬学部長の富田先生の司会で進められました。

(資料2)

 内山先生は厚労省の検討会の座長をなさっておられますし、富田先生は文科省の協力者会議の委員をなさっておられますので、お二人の座長から両省の意向を正確に示して頂きました。そのお陰で、各講演および討論が大変スムーズに進行致しました。演者は座長の富田先生、厚労省の医療食品局田中課長補佐、日病薬の全田会長、日本薬剤師会の児玉常務理事でございました。薬学教育6年制の問題は現在最終調整に入っている段階で、来年のtime tableがかなりはっきり見えておりますので、各演者の講演も具体的指摘や6年制実現後の課題が多く、勢いを感じさせるものでありました。特に日本病院薬剤師会、日本薬剤師会は6年制実現後の課題であります6ヶ月実習に向け精力的に活動していることを示されました。しかし、まだまだ、未解決の問題もあり、本学会会員の貢献が期待されるところでありましょう。

専門薬剤師の育成

 シンポジウム2は「専門薬剤師の育成〜癌化学療法を中心に」でございますが、これは二日目28日午後に開催され、熱烈な討論が展開されました。司会は群馬大学病院の堀内先生と北海道大学病院の宮崎先生で演者としては総論を堀内先生、医師の立場から広島大学の西山先生、オンコロジーナースの立場から神戸大学病院の井上先生、薬剤師の立場から東京逓信病院の内野先生、認定を行う立場から日本薬剤師研修センターの平井先生にご講演をお願い致しました。
 専門薬剤師については、すでに地方病薬のレベルで講習会やインターネットによる講義が始まっており、とくに癌薬物療法では医師、看護師とのチーム医療が求められております。今回のシンポジウムでも医師、看護師から癌薬物療法チームへの積極的参加が求められると共に専門薬剤師認定制度への熱いエールが送られました。西山教授からは急速に進歩しつつあるゲノム・遺伝子研究を背景とした分子標的薬剤などの登場が薬学専門家のチーム医療への参画の必要性を加速しており、専門薬剤師の育成に大いに期待しているという講演がございました。これはたいへん参加者を勇気付けたと思われます。また、内野先生からは最近行われた癌化学療法専門薬剤師に対するアンケート結果が報告されました。多くの病院薬剤師が癌薬物療法専門薬剤師は処方鑑査や癌化学療法剤の混合のみならず癌薬物療法の処方計画にも関与すべきだと考えていることが明らかにされました。多くの病院薬剤師が積極的に対応する姿勢を持っていることはこのシンポジウムの討論の場でも証明され、極めて熱い討論が展開されました。
 一方、教育講演では大阪大学の船越先生による「新しい動脈硬化性疾患診断ガイドラインとマルチプルファクター症候群」、それから京都大学の高倉先生による「遺伝子治療とDDS」の2題が講演されました。いずれもホットな話題で参加者の知識アップに貢献したものと思われます。特に、舟橋先生の高脂血症を取り巻くガイドラインの解説は動脈硬化性疾患の幅広い危険因子をも理解できた点で印象が残ったと思われます。
 一般講演は口頭発表が107題で4会場に分かれて行われ、ポスター発表が計574題でした。口答発表はかなり大きい会場を用意致しましたので、参加者が多いことによる混乱もなく、活発な討論が行われました。また、今回ポスター発表はじっくり見て討論して頂くためにポスターの交代をせず、二日間展示をするように致しました。発表数が多かっただけに、このシステムは好評でございました。今後、場所さえ許されるならば、ポスターは二日間展示する方向でご検討願いたいと思います。


提供 : 株式会社スズケン


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