→ 番組表はこちら
→ ストリーミング版はこちら
<スズケンDIアワー> 平成15年12月25日放送内容より スズケン

ケトライド系経口抗菌剤
テリスロマイシン


北里大学 微生物・寄生虫学 教授
井上 松久

抗菌薬の耐性化とテリスロマイシン

 本日は、ケトライド系経口抗菌薬テリスロマイシンの細菌学的な特徴についてお話したいと思います。
 先生方、ご存知のように1980年代に入り院内感染菌として全国的に検出されたメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)や多剤耐性緑膿菌は、その後大病院だけでなく老人医療施設やリハビリテーション・センターなどの医療施設にまで拡大しています。
 一方、市中では1985年頃からPISPやPRSPと呼ばれるペニシリン・セファロスポリン中等度または高度耐性肺炎球菌が分離され始め、現在では臨床材料から分離される肺炎球菌の60%強を占めています。特にPISP、PRSPは、呼吸器感染や慢性副鼻腔炎、あるいは中耳炎などの主要な原因菌として分離され、その80%強が同時にマクロライド耐性化しています。さらに最近、肺炎球菌はキノロン系薬に対しても耐性化し、香港では分離される肺炎球菌の25%以上、わが国でも平均して1.5%、病院によっては分離菌の7%を占めるなど、特にアジアの国で毎年着実に増える傾向にあります。
 また、インフルエンザ菌においても、β−ラクタマーゼ非産生のアンピシリン耐性菌(BLNAR)が年ごとに増え続け、これまた臨床材料から分離されるインフルエンザ菌の40%を軽く超えています。従って、市中感染の主要な原因菌である肺炎球菌やインフルエンザ菌の治療は、現在使われている経口抗菌薬だけではとても十分対応できない状況になりつつあります。
 テリスロマイシンは、ペニシリン耐性やセファロスポリン耐性、あるいはキノロン耐性とは全く交差耐性を示さないことは勿論ですが、マクロライド耐性の誘導型耐性菌に対しても強い抗菌力を発揮するため、治療薬として注目され、その臨床効果が期待されています。


提供 : 株式会社スズケン


1 2 3 次項へ