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<スズケンDIアワー> 平成16年1月1日放送内容より スズケン

小児アトピー性皮膚炎治療薬
タクロリムス水和物


自治医科大学 皮膚科 助教授
大槻 マミ太郎

タクロリムス軟膏の作用機序

 今日は、昨年(2003年)12月に発売になったばかりのアトピー性皮膚炎の治療薬、タクロリムス軟膏の小児用製剤について紹介したいと思います。
 現在のアトピー性皮膚炎治療において、皮膚の炎症を鎮静化する目的で用いられる外用薬は1950年代から使用されているステロイド外用薬と1999年に世界に先駆けてわが国で認可されたタクロリムス軟膏です。タクロリムスは、わが国の筑波山麓の土壌より分離された放線菌Streptomyces tsukubaensisが産生する、マクロライド骨格を有する化合物であり、IL-2をはじめとするサイトカイン遺伝子の転写を阻害してT細胞の活性化を抑制することにより、シクロスポリンに匹敵する優れた免疫抑制効果を発揮することから、まず移植領域において臨床応用されました。現在国内では肝・腎・心・肺・骨髄移植における拒絶反応の抑制を主な効能効果として、静注剤と経口剤が使用されています。
 その外用剤、即ちタクロリムス軟膏の開発は、1992年よりわが国でまず成人アトピー性皮膚炎を対象に行われ、冒頭で申し上げたように1999年11月、世界に先駆けわが国でその0.1%軟膏が発売されましたが、以後4年経過した現在、既に世界の20ヶ国以上において、より低濃度の0.03%軟膏が2歳から16歳未満の小児用として使用されております。わが国でも昨年7月に小児用軟膏の承認が得られ、その発売が待たれていましたが、昨年12月に薬価が収載され発売となりました。最近では免疫調整薬(topical immunomodulator)という新しいカテゴリーに分類されているタクロリムス軟膏は、使用開始時に一過性の刺激感があるものの、これまで多くの市販後調査や臨床研究などによって、その安全性、有用性が実証されており、その使用法としては、ステロイド外用薬とタクロリムス軟膏の両者を適切に使い分ける方法が、小児を含めたアトピー性皮膚炎治療のグローバルスタンダードになりつつあるといえましょう。

(資料2:「アトピー性皮膚炎の発症機序とタクロリムス軟膏の作用点」)

 さて、タクロリムス軟膏のアトピー性皮膚炎における作用機序を簡単に述べますと、先程お話したT細胞の活性化の抑制、すなわちリンパ球に対する作用が主ではありますが、それ以外にも好酸球、マスト細胞(肥満細胞)、ランゲルハンス細胞への作用も知られており、また最近では痒みに関連の深い、神経ペプチドに対する抑制的作用も注目されています。


提供 : 株式会社スズケン


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