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<スズケンDIアワー> 平成16年1月8日放送内容より スズケン

24時間持続型インスリンアナログ製剤
インスリングラルギン


順天堂大学内科 教授
河盛 隆造

中間型・持続型インスリン製剤の特徴

 基礎分泌を補うために使用されている中間型・持続型インスリンは、一定した効果を持続して発現することが望ましいと考えられますが、NPHインスリン、レンテインスリンはともに投与後数時間でピークがみられ、一定した基礎補充には必ずしも向いておりません。NPHインスリンの作用持続時間は従来24時間とされてきましたが、1型糖尿病では効果発現は約50分、最大効果発現時間は4〜5時間、持続時間は約14時間とされ、従来考えられていた効果のプロファイルよりも最大効果発現時間が早く、明らかな血中濃度のピークを作り、持続時間が短いことが明らかとなってまいりました。このため、就寝前投与により夜間に作用のピークがきて夜間低血糖をきたしたり、明け方に作用が消失するために早朝高血糖をきたす原因となることも明らかとなってまいりました。
 さらに結晶インスリンであるために、皮下投与後の吸収のバラつきがある点も大きな問題です。このように効果発現が一定しないことから、夜間の低血糖が危惧され、必要充分量を注射しにくいという問題点も出てまいりました。

グラルギンの製剤設計

 現在の中間型・持続型インスリン製剤のこのような弱点を補うには、結晶懸濁液ではなく、可溶性でありながら、皮下に長く留まり、持続的で安定した吸収パターンを示す持効型溶解製剤の開発が望まれ、インスリン分子の一部を修飾する試みがなされてきました。

(資料1「グラルギンの製剤設計」)

 グラルギンはインスリンのA鎖21位のアスパラギン(Asn)をグリシン(Gly)に変換し、B鎖30位のスレオニン(Thr)で終わるC末端に2個のアルギニン(Arg)を付加したインスリンアナログです。なお、この物質はグリシン(glycine)とアルギニン(arginine)で修飾したインスリンアナログであることから、グラルギン(glargine)と名付けられました。弱酸性の無色澄明な溶液のグラルギンを皮下に注射いたしますと、pH7.4の皮下で直ちに等電点沈殿します。皮下で析出したグラルギンは生理的pHの下では溶解性が極めて低いため、緩徐に溶解しながら、六量体、二量体、単量体となり毛細血管より吸収されます。この等電点沈殿から六量体、二量体への溶解過程が吸収の律速段階となり、明らかなピークを持たず、持続的な作用を示すグラルギンの特性が実現いたしました。


提供 : 株式会社スズケン


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