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<スズケンDIアワー> 平成16年1月8日放送内容より スズケン

24時間持続型インスリンアナログ製剤
インスリングラルギン


順天堂大学内科 教授
河盛 隆造

グラルギンの薬物動態

 1型糖尿病患者を対象にグラルギン、NPHインスリン、ウルトラレンテインスリンの作用持続時間を正常血糖クランプ法を用いて持続皮下インスリン注入療法(CSII)と無作為化クロスオーバー法により比較した成績がございます。

(資料3:「1型糖尿病患者におけるインスリン単回皮下投与後、またはCS・施行中のGIRの推移」)

 インスリン作用をあらわす指標、静脈内ブドウ糖の注入率GIRはNPH群およびウルトラレンテ群では明らかなピークが認められたのに対し、グラルギン群では明らかなピークが見られず平坦に推移いたしました。また、グラルギン群における作用持続時間の中央値は23時間で、NPH群の14時間に比べて有意に長いことが示されました。
 さらに、グラルギンはNPHに比較して、血中インスリンレベルやインスリンの働きのバラつきが極めて少ないことも示されました。以上のようにグラルギンは、NPHインスリンと比較して明らかな作用のピークがなく1日1回投与で、24時間にわたって安定した効果を維持することから、生理的な基礎インスリン分泌パターンを再現しうるインスリン製剤として、今後強化インスリン療法(Basal-Bolus療法)において重要な役割を担うものと考えられます。この作用の利点は安定した血中インスリン濃度の維持にあります。また、皮下からの吸収が安定しているため、インスリン投与量の調節が容易になると考えられます。

グラルギンの臨床治験成績

 私どもが本邦で行いました臨床治験成績によると、1型糖尿病、2型糖尿病いずれにおきましても、NPHインスリンと同等あるいはより良好な血糖応答反応をもたらし、かつ夜間、食間の低血糖の発症頻度を低下させました。

(資料4:「基礎インスリン補充による血糖プロファイルの変動」)

  

 具体的には、2型糖尿病患者におきましては、SU薬をはじめとする種々の経口糖尿病用薬を服用しておりますが、血糖コントロールが良好でない、朝食前空腹時血糖値が高い、2型糖尿病患者に対し、経口糖尿病用薬に加えグラルギンを1日1回注射する、この際、朝食前空腹時血糖値を指標として、この値を100-120mg/dlに低下させるように、グラルギン投与量を調整していく、すると24時間にわたり、血糖値がだるま落としのように低下した状況をもたらすことになります。

(資料5:「2型糖尿病患者に対するグラルギン投与による血糖プロファイルの変化」)

 当然、グリコヘモグロビン値が低下してきます。内因性インスリン分泌が改善する、インスリンの働きが回復する。この両者によりSU薬をはじめとする種々の経口糖尿病用薬の効果が高まり、食後の血糖応答も改善してくることが報告されております。
 インスリン治療を必要とする、2型糖尿病患者数が激増しており、外来診療でインスリン療法導入が一般的となってまいりました。保険診療の面からインスリン療法は、患者にとっては負担額が大きくなります。この際、いかなる製剤を用いるのか、経口糖尿病用薬を併用するのか、空腹時血糖値、グリコヘモグロビン値、グリコアルブミン値、血糖自己測定値、いかなる指標を重視して投与量を緻密に、的確に調整していくのか、一例一例での見極めが重要になるかと思われます。できれば数ヶ月以内に再びインスリン療法が不要となるように、内因性インスリン分泌能を回復させる、インスリン抵抗性を除去する、そのため夜間・食間のみならず、食後血糖応答の正常化維持を目指すインスリン療法がますます求められてくると考えております。


提供 : 株式会社スズケン


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