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<スズケンDIアワー> 平成16年1月29日放送内容より スズケン

新薬の薬価算定根拠について(5)


日本大学薬学部 薬事管理学 教授
白神 誠

icon「プロトピック軟膏」の適応拡大と薬価算定

 次は、プロトピック軟膏小児用です。成分名はタクロリムス水和物で、富山フジサワの開発です。

(資料6:「プロトピックの算定概略」)

 タクロリムス水和物は免疫抑制作用を有し、既に大人のアトピー性皮膚炎の適用で市販されているものがありますが、今回、小児に適用拡大するために濃度の低い製剤が開発されたものです。薬価については既に収載されているプロトピック軟膏との規格間調整により算定されました。規格間調整には、アトピー性皮膚炎の効能を有している尿素の製剤であるパスタロンの規格比が用いられました。
 以上6成分は平成15年12月3日の中医協総会に報告され、12月12日に薬価基準に収載されました。

iconHIV感染症治療薬「レイアタッツカプセル」の薬価算定

 次は、レイアタッツカプセルです。成分名は硫酸アタザナビルで、ブリストル製薬の製品です。

(資料7:「レイツタックアカプセルの算定概略」)

 硫酸アタザナビルは、HIVプロテアーゼ阻害作用を有し、HIV-1感染症に用いられる薬剤です。本剤と効能・効果、薬理作用、投与形態、剤形が同じであるアンプレナビルの製剤であるキッセイ薬品工業のプローゼカプセルを比較対照薬に類似薬効比較方式(I)で算定されました。レイアタッツカプセルは、プローゼカプセルが1日2回服用であるのに対して、1日1回の投与で済みコンプライアンスの向上が期待できること、交叉耐性を示しにくく他剤の投与が中止されたものに有効であること、脂質濃度を低下させることの3点により、対象疾患の治療方法の改善が示されていると判断され、有用性加算(II)が認められています。また、規格間調整については、同じ効能を持つジタノシンの製剤ヴァイデックスECカプセルの規格比が用いられました。本剤はHIV感染症の治療薬であることから、薬価基準に緊急に収載する必要があり、平成15年12月12日の中医協で審議され、12月25日に薬価基準に収載されました。

icon薬価基準への収載について

 なお、薬価基準への収載は、新薬については、年4回とされています。これは、1985年に当時のレーガン米国大統領と中曽根首相との合意に基づいて開始された日米間の経済問題解決に向けての市場指向型・分野別アプローチいわゆるMOSS協議の結果決定されたものです。ここでいう市場指向型とは、市場アクセスに対して制限となる障害を取り除くことに焦点を当てることを、また分野別とは特定の産業分野についてこの障害を取り除くことを意味していました。この分野として電気通信、エレクトロニクス、林産物に加えて医薬品・医療機器が取り上げられました。このMOSS協議の結果、新薬は薬事法の製造又は輸入承認の回数にあわせ、承認後できるだけ早く薬価収載を図るべく、年4回定期的に収載すること、その収載時期は承認後できるだけ早く行うものとし、原則として、承認後60日以内、遅くとも90日以内に収載することが合意されました。なお、新しい輸液のような準新薬は年2回、後発品は年1回収載されることになっています。


提供 : 株式会社スズケン


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