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<スズケンDIアワー> 平成16年2月19日放送内容より スズケン

HIV-1感染症治療
アタザナビル


東京医科大学病院 臨床検査医学 主任教授
福武 勝幸

iconHAART療法の問題点

 このようにHAARTによって、死亡者数を激減させることが出来たのですが、今度は治療に伴うさまざまな問題が発生してきました。その中で重要なのが薬剤耐性ウイルスの発生と代謝異常症などの薬剤による副作用の問題です。

 耐性ウイルスの発現にはさまざまな要素が関係しますが、最も重要なのは不十分な治療であり、その原因として薬剤服用のアドヒアランスの不良があります。抗HIV薬の数は先程お話したように多くなっていますが、系統としては3種類に過ぎず、一旦耐性を獲得すると交差耐性が多剤におよび治療が困難になります。
 耐性ウイルスの発生を阻止するために最も重要なのが薬剤服用のアドヒアランスを良好に保つことです。これには患者さんへの十分な説明により理解を得るとともに、治療に向けての患者さんの意欲を十分に高める必要があります。そして、患者さんのライフスタイルに適した処方を行う必要があります。

icon新しい治療の流れ

 初期の抗HIV薬は夜中にまで目を覚まして服用しなければいけなかったのですが、最近では1日2回の服用で済むものが多くなり、さらに1日1回の服用へと移ろうとしています。それは、1日1回の服用がアドヒアランスを最も良好に保つとされているためです。
 今日、ご紹介するアタザナビルは商品名をレイアタッツというHIVプロテアーゼ阻害薬です。日本では、2004年1月6日に発売されたもので、HIVプロテアーゼ阻害薬として初めての1日1回投与が可能な薬剤で、服用カプセル数も2カプセルと少なく、食事中または食直後に服用することから、良好なアドヒアランスが得られると期待されています。
 また、少量のリトナビルと併用することで、さらに高い血中濃度を安定して維持できることが知られており、強力な抗HIV作用を発揮します。

(資料7:「Rationale for AYV300mg Boosted With RTV100mg」)

iconアタザナビルの臨床試験成績と副作用

 未治療のHIV感染者810例と対象として、アタザナビル400mgまたはエファビレンツ600mgにラミブジンとジドブジンを併用した、無作為に割り付けた多施設二重盲検比較試験では、48週後の成績として、HIV-1RNAが400コピー未満の割合は、それぞれ67%と63%、50コピー未満となる割合はそれぞれ31%と36%となり、両者は同等の成績を示しています。

(資料8:「48週にわたるウィルス学的効果(ITT)」)

 これまでのHAARTにおける副作用として、特にHIVプロテアーゼ阻害薬を含む処方では、血中のコレステロールや中性脂肪が高値を示す脂質代謝異常の発症が多数報告されて問題になっています。アタザナビルのもう一つの優れた点は、脂質代謝に対する影響が少ないことが臨床試験で示されていることです。先に述べたアタザナビルとエファビレンツを比較した臨床試験の開始前後の比較では、アタザナビル使用群では総コレステロールが2%増加、中性脂肪が9%減少であったのに対して、エファビレンツ群では総コレステロールが21%増加し、中性脂肪が23%増加しており、アタザナビルの影響の少なさが現れています。

(資料9:「脂質の変化 EFVとの比較」)


提供 : 株式会社スズケン


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