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<スズケンDIアワー> 平成16年2月19日放送内容より スズケン

HIV-1感染症治療
アタザナビル


東京医科大学病院 臨床検査医学 主任教授
福武 勝幸

icon抗ウイルス療法と耐性変異

 抗HIV薬の特徴をみるうえで、もう一つの重要な点として耐性を獲得したウイルスの性質があります。抗ウイルス療法を行う上で耐性ウイルスの発生は完全には避けられない問題です。そして、発生した耐性変異が多くの薬剤に交叉耐性を示す場合は将来の治療を困難にしてしまう重大な問題となります。アタザナビルによる初回治療を受けた患者に発生した耐性変異は全例がI50Lの変異を示していて、この変異は他のHIVプロテアーゼ阻害薬の感受性を逆に増加させることが示されています。したがって、万一、この耐性変異が出現しても次の治療薬の選択肢が残されていることを意味します。
 逆に、アタザナビル未治療の患者から得られた臨床分離パネルを用いて、アタザナビルの感受性を検討した成績では、アタザナビルの感受性の低下には数個のアミノ酸置換が必要であり、既存のHIVプロテアーゼ阻害薬の1または2剤に耐性を有する分離株でもアタザナビルに対する感受性は保たれていました。

(資料10:「未治療患者に投与後の耐性」)

iconアタザナビル投与の留意点

 アタザナビルを用いた臨床試験における主な副作用は、悪心、頭痛、発疹、腹痛、黄疸であり、臨床検査値の異常としては総ビリルビンの上昇、ALTの上昇、好中球の減少などです。この中で、総ビリルビンの上昇は35%から47%と高頻度に認められました。これはUDPグルクロニルトランスフェラーゼの阻害により、無症候性の非抱合型ビリルビンの上昇として認められるもので、本剤の中止により回復します。
 アタザナビルは主に肝臓で代謝を受けるために、肝障害の患者では血中濃度の上昇と半減期の延長が認められます。このため中等症の肝障害患者では、通常の400mg1日1回から300mgを1日1回に減量して投与するよう推奨されています。また、アタザナビルは肝臓でCYP3A4により代謝されるためさまざまな薬剤との相互作用が知らされています。本剤の使用に際しては、併用禁忌薬と併用注意薬には十分注意していただきたいと思います。
 今日は、新しい抗HIVプロテアーゼ阻害薬であるアタザナビルの特徴についてお話いたしました。


提供 : 株式会社スズケン


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