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<スズケンDIアワー> 平成16年3月18日放送内容より スズケン

セロトニン受容体拮抗型制吐薬
塩酸インジセトロン


岩手医科大学産婦人科 教授
杉山 徹

icon悪心・嘔吐管理の意義と発現メカニズム

 本日は、まもなく発売される予定の抗悪性腫瘍剤使用時に発生する悪心・嘔吐の治療薬・塩酸インジセトロンについてお話いたします。

(資料1:「塩酸インジセトロンの構造式」)

 塩酸インジセトロンは、セロトニン3受容体拮抗型の制吐剤で、高い受容体選択性を持っています。すでに、日本ではいくつかのセロトニン3受容体拮抗型の制吐剤が用いられていますが、2004年1月に製造承認を取得した塩酸インジセトロンは最新の制吐剤です。本剤の薬剤概要を説明する前に、癌化学療法における悪心・嘔吐を管理する意義とその発現メカニズムについて説明致します。
 癌化学療法において、副作用対策は非常に重要であり、副作用の発現を抑制しながら、予定された抗悪性腫瘍剤を確実に投与することで抗腫瘍効果が発揮されます。抗悪性腫瘍剤による副作用は血液毒性と非血液毒性に分けられます。非血液毒性の中で最も高頻度にみられる悪心・嘔吐は、しばしば食欲不振を伴い、脱水、低栄養、電解質異常、不安、Mallory-Weiss症候群などを起こし、患者のQOLを著しく低下させるだけでなく、患者の治療拒否により治療の継続が困難になることもあります。したがって、悪心・嘔吐の適切な管理は、患者さんのQOLを低下させることなく、癌化学療法の完遂率を向上させ、ひいては奏効率の向上や生存期間の延長につながり、非常に重要です。
 嘔吐は最終的には延髄に存在する嘔吐中枢の興奮で誘発されます。この嘔吐中枢を興奮に導く経路の一つとしてセロトニンを介する経路があり、抗悪性腫瘍剤による嘔吐には、このセロトニンの経路の関与が大きいと考えられています。


提供 : 株式会社スズケン


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