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<スズケンDIアワー> 平成16年5月20日放送内容より スズケン

チアマゾールによる無顆粒球症


日本医科大学 名誉教授
野村 武夫

icon無顆粒球症の病態と原因

 無顆粒球症は顆粒球が高度に減少した病態を指します。
顆粒球には、好中球、好酸球、そして好塩基球の3種類がありますが、無顆粒球症という場合の顆粒球は好中球を指しています。

(資料1:「顆粒球のスライド」)

 つまり好中球が、全くゼロではないにしても、高度な減少に陥った状態で、具体的な数字を挙げると血液中で250/μlあるいは500/μl以下とするのが一般的です。その際、白血球数も1,000/μl以下の高度な減少に陥っているのが普通です。

(資料6:「成人の白血球数・分画の基準範囲」を挿入)

 このような白血球の高度な減少についての記述は20世紀初頭から散見されますが、1920年代に入ってSchultz病つまり無顆粒球症の存在が知られるようになり、それからおよそ10年後に、アミノピリンがその原因として取り上げられました。これがきっかけで、引き続いてさまざまな医薬品、例えば、抗てんかん剤、解熱消炎鎮痛剤、循環器官用薬、抗生物質製剤などによる無顆粒球症が相次いで報告されるようになり、本日のテーマの抗甲状腺剤チアマゾールもその中に含まれています。
 現在わが国で使われている抗甲状腺剤はチアマゾールとプロピルチオウラシルの2薬剤ですが、そのどちらについても、国内国外に無顆粒球症との因果関係を裏付ける多くの報告があります。発症頻度については両薬剤とも、服用者の0.1%〜0.5%程度ですが、中には1%をやや上回る数字も報告されています。チアマゾールとプロピルチオウラシルの両剤を比較するとプロピルチオウラシルの方が、発症頻度が高いとする報告、あるいは男性に比べ女性に、また若年者よりも中高齢者に発症しやすいなど、因果関係や発症率についてさまざまな解析が行われていますが、このような疫学上の結論を出すには、なお今後の研究が必要と思われます。


提供 : 株式会社スズケン


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