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<スズケンDIアワー> 平成16年5月27日放送内容より スズケン

てんかん焦点部位診断薬−イオマゼニル


国立病院機構 静岡てんかん神経医療センター第二脳神経外科
松田 一己

iconてんかん焦点の機能的画像所見

 次に測定方法ですが、イオマゼニル167-222MBqを静注しますと、15-30分後の早期には脳血流に比例した分布を示し、測定時間の中央値が180分後となるような後期像では脳内のベンゾジアゼピン受容体の分布を反映して、大脳皮質を主体に高集積するのに対し、大脳基底核や橋では集積に乏しく、小脳でも低下している像が得られます。
 一方、手術で摘出された標本をもとにベンゾジアゼピン受容体濃度の変化を調べた結果、てんかん焦点においては総じて受容体濃度が低下しており、抑制系障害の存在を示していると考えられます。この受容体濃度の低下が反映する内容は、てんかん焦点の背景をなす病変、これをてんかん原生病変と呼んでいますが、その種類によっても異なります。このような種々のてんかん原生病変に起因するベンゾジアゼピン受容体濃度の低下域を画像上に描出できれば、てんかん焦点の検出に極めて有用となります。

(資料10:「Quantitative Analysis of Benzodiazepine Receptor」)

 例えば、最も頻度の高い内側型の側頭葉てんかんでは、海馬の神経細胞の脱落とグリアの増殖を示す海馬硬化所見が高頻度に見られますが、摘出標本の検索からこの神経細胞の脱落の程度に応じたベンゾジアゼピン受容体濃度の低下が確認されております。

(資料11:「内側側頭葉硬化」)

 イオマゼニルSPECTでは、この組織学的背景を良好に反映して焦点側の側頭葉内側部に限局し、脳血流SPECTの低灌流所見よりも高度の集積低下として捕らえられました。
 次いで頻度の高い皮質形成異常では、摘出標本の検索から形成異常の程度とベンゾジアゼピン受容体濃度に相関を認め、形成異常の程度が強いほど、受容体濃度の低下が大きい結果が得られました。
 イオマゼニルSPECTでは、MRI異常よりやや広範な領域に限局する集積低下域として描出され、形成異常の高度の例では病変の大小に拘らず著明な低集積域が検出されました。

(資料14:「Dysembryoplastic Neuroepithelial Tumor」)

 てんかんに特異的とされる先天性の良性腫瘍(DNT)では、腫瘍本体の顕著な濃度低下とその周囲の皮質形成異常を反映した軽度の濃度低下が描出され、これに対し脳血管腫では病変部に極めて限局し、周囲への広がりに乏しい濃度低下など病変の特徴が、良好にイオマゼニルSPECTのイメージに反映されました。


提供 : 株式会社スズケン



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