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<スズケンDIアワー> 平成16年6月17日放送内容より スズケン

勃起不全治療薬バルデナフィル


東邦大学泌尿器科 講師
永尾 光一

icon薬物動態と臨床試験成績

 日本における血漿中薬物動態の成績から、レビトラはTmaxに約45分で到達し、3〜5時間の半減期で消失することが示されました。

(資料5:「日本人における血中薬物動態」)

 また、外国人の健康成人男子での反復投与による検討では本剤の蓄積性は認められていません。
 また、レビトラの薬物動態は一般的な食事の影響を受けないことが示されています。すなわち脂肪分の含有量30%、700Kcalの標準的な食事の直後にレビトラを服用した時、薬物動態には影響はみられませんでした。脂肪分約60%含有する高脂肪食の場合はTmaxの延長やAUCの低下等影響を受けますが、日本人の平均的な食事における脂肪分の含有量は約25%ですので、通常の食事では問題となりません。患者にとってはひとつのメリットになると考えられます。
 引き続き、海外において第二相試験が実施され、EDを患っている患者を対象に前期試験では、陰茎の硬度を測定するリジスキャンという測定器具による評価をし、有効性が確認されました。後期第二相試験では、約600例のED患者を対象に実施されました。この後、日本において第三相試験として用量反応試験を、約300例を対象に実施し、レビトラ10mgで実に85.3%と高い勃起機能改善率が得られました。
 海外では第三相試験として、一般的なED患者を対象とした臨床試験の他に、EDでは難治性といわれる糖尿病を合併しているED患者を対象とした試験、前立腺癌術後のED患者を対象とした試験、長期投与試験等が行われました。いずれの臨床試験成績でもレビトラの高い有効性が示されると同時に幅広い患者層に対しても確実に効果が現れることが示唆されました。服用後の勃起の発現時間による効果は服用後10分でプラセボに比べて有意であったという報告がありました。さらに他剤で無効であった患者にも50%以上の改善が認められたことや、2年間の長期投与でも変わらぬ効果を維持していることの報告も発表されています。これらの知見は患者にとって大きなメリットになるでしょう。

(資料13:「ラビトラの安全性」)

 日本で行われた臨床試験において認められた主な副作用は、ほてり、頭痛、鼻炎、消化不良等であり、いずれもPDE5型阻害剤に特徴的なもので、そのほとんどが軽度、一過性で服用に伴って発現した事象でした。また2年間の長期投与から得られた結果から、有害事象の発現率の推移をみたところ、多くは投与期間のうち初期の段階に発現し、時間を経るに従い発現率が低下する傾向が示されました。このことはレビトラの耐容性に特に大きな問題はないことを示唆していると考えられます。

(資料16:「相互作用の一覧」)

 またこの種の薬で気になる、心血管に関するリスクを持つ患者で検討した成績も報告されています。冠状動脈疾患の患者を対象にトレッドミルによる運動負荷を行った時の検討成績からは、レビトラは心血管系の有害事象の発現リスクを上げないことが示されました。

icon投与の留意点

 これまでお話したレビトラの有効性や安全性や特徴を最大限享受するには、やはりレビトラの使用上の注意を守って安全に使うことが肝心です。硝酸剤の投与を受けている患者は投与禁忌です。このような患者では、外因性のNOが多量に血管内に存在しうるため、血管平滑筋に多量のサイクリックGMPが存在し、このサイクリックGMPの分解をレビトラが阻害する結果、著明な血圧低下を招くおそれがあり、危険であるからです。また、高齢者、肝障害、血液透析を必要とする末期腎障害のような合併症を有する場合や、チトクロームP450のアイソザイムであるCYP3A4の阻害作用のある薬剤を併用した場合は、レビトラの全身への影響が増加する危険があるため、投与できない場合や低用量からの投与を考慮する必要があります。また、もともと、心血管系障害を有するなど性行為自体が不適当であると考えられる患者、先天性のQT延長症候群の患者、α−遮断薬を使用している患者に対しても投与できません。一方で降圧剤の第一選択として汎用されている二フェジピンと本剤との降圧作用の増強等の相互作用は認められておらず、高血圧を持つED患者で降圧剤を服用している患者に対しては用量調節も不要で使いやすいと考えられます。
 また、いまだに誤解される方も時々いらっしゃいますが、レビトラは性欲を増進するわけではありません。射精障害にも効果はありません。レビトラの薬理作用から、あくまで、性的な刺激を受けることによって効果を発揮する治療薬です。医師から正しい使い方の説明を受け、安全に使用してください。EDは加齢と共に増える傾向がありますが、その要因として高血圧や糖尿病等の生活習慣病、うつなどの精神状態が深く関わっていることが指摘されています。高齢化社会の到来により、これらのリスクファクターを有する患者が潜在的なED患者として今後も増加することが予想されます。一方、男性不妊の原因の3割をEDが占めており、また脊髄損傷や骨盤内手術の合併症がある場合などEDは、重要な疾患であることは間違いありません。同時に、性機能診療の理解が今後ますます各方面に広がっていくことが望まれます。


提供 : 株式会社スズケン


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