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<スズケンDIアワー> 平成16年7月1日放送内容より スズケン

レフルノミドによる間質性肺炎


日本医科大学第四内科 教授
工藤 翔二

iconレフルノミドと間質性肺炎

 抗リウマチ薬レフルノミド(商品名アラバ錠)は2003年の4月に、アベンティス ファーマ社が製造承認を受けまして、同年9月から市販後の全例調査を条件として国内で使用されています。
 欧米の成績では、メトトレキサートと同等以上の効果があり、重大な副作用である間質性肺炎が稀とされまして、メトトレキサートの代替薬として期待をもって受け入れられたわけでありますけども、当初予想されなかった間質性肺炎の発生が国内で高頻度にみられて、それによって大きな問題になっております。

(資料2:「アラバ錠(レフルノミド)による間質性肺炎に係る安全対策について」)

 当初、肝不全あるいは骨髄抑制などの有害事象が予想されましたので、厚生労働省は3,000例の市販後全例調査を義務づけましたが、この間質性肺炎の発生のために、04年1月には全例調査の継続と、レフルノミドによる間質性肺炎の発症リスクに関する検討を指示しまして、同時に胸部X線検査またはCT検査によって、間質性肺炎等の所見の有無を確認して、間質性肺炎等の所見が確認された場合には投与を中止することをはじめとしまして、3項目の措置を指示しております。

icon間質性肺炎の発生頻度と海外の状況

 最近の同社の安全性情報によりますと、6月3日現在で4,284例が登録されまして、間質性肺炎が47例(約1.1%)発症し、その内22例が死亡したとされています。ただし、死亡例のうちの6例がレフルノミド投与とは直接関係のないものとされております。
 この数値は、一昨年の秋から大きな問題となりました非小細胞肺癌に対する分子標的薬ゲフィチニブの肺障害と比べてみますと、発生頻度はやや低いものでありますが、発生した場合の死亡率はほぼ同様であります。この点では、この薬剤の慎重な投与が求められるとともに、投与前の患者に対するインフォームド・コンセントが大変重要となってまいります。

(資料4:「新しい抗リウマチ薬の有害事象」)

 一方海外をみますと、昨年の10月にフロリダで行われましたアメリカリウマチ学会で、1998年〜2002年までにアメリカのFDAに報告された市販後有害事象のデータベースを解析した報告があります。ここでは、エタネルセプト、インフリキシマブ、レフルノミド、およびメトトレキサートの4つの薬が比較されております。レフルノミドは98年以来、この期間に約36万患者×年が投与されまして、間質性肺炎の発生率は10万患者×年あたり12.9人でありました。確かにこの数字で申しますと、1年間飲み続けて、1万人に1.3人ということですから、極めて低い発生率であります。
 薬剤による有害事象としての間質性肺炎の発生頻度が、このように日本と海外で大きく異なることは、決してレフルノミドに限ったことではありません。前述のゲフィチニブの肺障害も、わが国では2〜4%でありますが、米国のFDAの調査では市販後に23,000例使って、わずか0.3%と報告されております。すなわち日本では10倍も発生頻度が高いわけであります。こうした原因はまだ明らかではありませんが、おそらく肺障害に関する人種的な薬剤感受性の差が存在するのではないかと、考えられております。現在、ゲフィチニブに関連しては、SNPsあるいはプロテオーム解析といった薬理遺伝学的な検討が進められておりますので、その中で薬剤性肺障害に関する人種差に関する端緒が得られるかもしれません。


提供 : 株式会社スズケン


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