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<スズケンDIアワー> 平成16年7月15日放送内容より スズケン

病態シリーズ(24)
移植片対宿主病


虎の門病院血液科 部長
谷口 修一

icon同種造血幹細胞移植とは

 本日は、同種造血幹細胞移植でみられる移植片対宿主病(graft versus host disease:以下GVHD)についてお話をいたします。同種造血幹細胞移植とは、主に白血病や再生不良性貧血など、血液を作る場である骨髄が病に冒された時、その病的な骨髄もしくは白血病などの腫瘍細胞を大量の放射線や抗癌剤で破壊し、ドナーの骨髄組織と置き換えてしまう治療法です。この治療法で化学療法では治癒できない白血病患者を数多く救命してきました。またより状態の良い、化学療法で腫瘍のコントロールがついている患者では60〜80%の確率で治癒するとされています。ただし、ドナーには誰でもなれるわけではなく、基本的に白血球型(HLAと略します)が一致している必要があります。このHLAは原則的に兄弟でしか一致せず、それも1/4の確率でしかあいません。もし兄弟以外の他人でドナーを求めるとすれば、数千人〜数万人探す必要があります。そこで登場したのが骨髄バンクです。1992年に創立された日本骨髄バンクでは、すでに約19万人のドナー候補の方々が登録されていますので、理論的にはHLA一致の非血縁ドナーが見つかる状況となっています。また臍帯血移植も発展してきています。臍帯血とは、いわゆるへその緒の中に含まれる新生児の血液ですが、その中に移植するに十分な造血幹細胞が含まれることがわかっています。通常は出産時に捨てられる血液ですが、これを凍結し保存しておくわけです。また臍帯血移植の場合、HLAが完全に一致しなくても移植可能といわれていますので、現在、日本臍帯血移植ネットワークでは約2万件の臍帯血を保存しており、体重あたりの細胞数が限られている成人でも移植に十分な臍帯血を90%以上の方々に提供できる状態となっております。ただ、臍帯血移植では、移植後の血球の回復(いわゆる生着)や感染症の問題が残されており、今後の研究の集積が待たれます。


提供 : 株式会社スズケン


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