NTT東日本関東病院 薬剤部長
折井 孝男
第7回日本医薬品情報学会学術大会が、平成16年6月19〜20日の2日間、東京渋谷にある日本薬学会長井記念館ホールで開催されました。本学会は「医薬品情報は保健・医療・福祉を担えるか」をメインテーマとして特別講演、シンポジウム、口頭発表により行われました。
医薬品情報の「受信」から「発信、提供」へ
わが国は、置かれた地理的条件もあり、大昔より、その文化の主たる起源を主として大陸に求め、そこから学び、わがものとしてきました。このような「他から学ぶ」精神は、その後も国民性の一つとなり、定着し「和魂洋才」などとして表現されています。薬学も、その例外ではなく、医学・医療とともに学んできました。
日本において薬学は、旧くは中国大陸、ヨーロッパ、さらにアメリカ合衆国など、教師と仰ぐ国は変わってもどこかに「外国から学ぶ」という考えが、その歴史であったように思えます。医薬品情報の言い方をすれば「受信」するかたちです。しかし、これからは今まで以上に情報を「発信、提供」することを積極的に考えていくことが必要です。これは、一つの大きな発想の転換です。
我々薬剤師は、一生懸命、患者、医療関係者に対し、医薬品情報を発信してきました。まじめに取り組んできた姿勢、それはある意味では、美徳に違いありません。しかし、他方では、あまりにも自信に欠けていたり、必要以上に謙虚であり、パターナリズムになっていたかもしれません。「受信」した医薬品情報を単に「発信」していただけかもしれません。言い方を替えれば、薬剤師のもっている長所を他に紹介したり、時には主張し、結果として多くの分野に役立ててもらおうという姿勢に欠けていたといえるかもしれません。
我々薬剤師は、決して放漫になることなく、常に薬剤師として和を貴ばねばなりません。今までどおりに謙虚であり、他方、なしうる寄与、貢献はしなくてはならないと考えます。その結果として、医薬品情報学専門薬剤師なるものが生まれるかもしれません。
保健・医療・福祉へのさらなる貢献のために
では何をするのか、それは本大会のテーマでもある保健・医療・福祉分野への貢献であるといえると思います。これは大変、難しいことであり、リスク等を伴うものです。アメリカ合衆国Institute of Medicine(IMO)から出された報告書の題名“to error
is human”にしても、それは決して薬剤師等に対する免罪符ではありません。

このような時勢を踏まえ、本学会では特別講演に国際基督教大学大学院教授であられる村上陽一郎先生に「医薬品情報と安全学」をテーマにお話を頂きました。また、シンポジウムでは、「医薬品の情報を読み解く」をテーマに心理学、情報学、看護学、医学の立場から、医薬品の情報をいかに捉えるかということについて各々のシンポジストの先生方からお話を頂きました。
日本人の生命観、自然観等、あるいは自然科学そのもの、その応用である科学技術について、日本人としての考え方、取り組む姿勢に見るべきもの、傾聴するものがあるのは確かなことです。今回の特別講演、シンポジウムでは、そのような視点から広く示唆に富むご意見、お考えを述べていただくことができました。
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