→ 番組表はこちら
→ ストリーミング版はこちら
<スズケンDIアワー> 平成16年8月19日放送内容より スズケン

内痔核治療局所注射剤


社会保険中央総合病院 大腸肛門病センター
岩垂 純一

icon 従来の痔核の注射療法

 内痔核治療局所注射剤についてお話いたします。従来わが国で行われていた痔核の注射療法は塩酸キニーネ、石炭酸、抱水クロラールなど濃厚な腐蝕液を注射して注射部位の壊死、脱落をはかる腐蝕療法(necrotheraphy)でした。
 しかし、この方法は注射部が脱落するまでの苦痛が強く、そして脱落後に生じる瘢痕による肛門狭窄や難治創などの種々の後障害が多くみられ、問題の多い方法でした。
 一方、欧米で19世紀半ばころより行われていた注射療法は、主としてフェノールをアーモンド、オリーブなどの植物油に5%の割に溶かしたものやキニーネ・ウレタンの5%水溶液などの薄い溶液を用いる硬化療法(Sclerotheraphy)でした。

icon 硬化療法の導入

 欧米で行われている Sclerotheraphyは後障害も生ぜず効果もあるため、1970年代から日本でも行われるようになりました。
 当初、様々に試行されましたが、結果として 5%フェノールアーモンド・オイルが選択され、1976年には製品化され現在まで、使用されているわけです。
 5%フェノールアーモンド・オイルによる硬化療法の手技の実際ですが、歯状線の上方に存在する内痔核に針をさし、その痔核内を通して痔核の上極まで針先を進めます。
 そして注射器の内筒を引いて血液の逆流が無いことを確認し、注射薬剤が歯状線に至るまで粘膜下に薬液を注入します。
 量としては小さな痔核で1〜2cc、大きなもので4〜5ccくらいとなります。以上のパオスクレーの臨床的効果は痔核の脱出に対しては効果が認められないものの出血には極めて有効とされています。
 しかし、その効果は永久的なものではなく、1年程度であって、約半数においては9ヶ月以内に再発が認められるようになります。実際に病理学的に検討しても注射直後は注入された油は間質、血管周囲に沈着し、大小不同の油による空砲を形成し、そのため血管は周囲から圧迫されています。そして3〜4週間後には血管壁は針金の輪(Wireloop)状に層状を肥厚する膠原線維の増生で内腔が狭窄化し同時に間質の線維化が目立つようになります。しかし、9ヶ月後には血管壁には側副血行路としての新生血管が多数見られるようになってしまいます。
 以上のように 5%フェノールアーモンド・オイルによる硬化療法は痔核の出血に対し有効で、その効果は1年以内ということができます。

提供 : 株式会社スズケン

      

1 2 3 次項へ