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<スズケンDIアワー> 平成16年8月19日放送内容より スズケン

内痔核治療局所注射剤


社会保険中央総合病院 大腸肛門病センター
岩垂 純一

icon 水溶性局所注射剤『消痔霊』の改良

 続いて消痔霊についてお話いたします。中国では、以前より脱出する内痔核に対して消痔霊という水溶性局所注射剤を用いた注射療法が行われてきました。日本において、この消痔霊を製剤上の工夫を加えて改良した OC-108が、今回ジオンとして発売されることになりました。

(資料1:「Aluminum potassium sulface」)

 消痔霊は北京の広安門医院の史兆岐らにより開発された水溶性局所用注射剤で、1979年に中国政府より正式に薬剤として認可されています。
 消痔霊の成分は中国伝統医学の経験に基づき、硫酸アルミニウムカリウムである明礬とタンニン酸を主とした五倍子を主成分とし調合されています。硫酸アルミニウムカリウムは局所注入部に強い炎症をもたらし、これにより組織の線維化をもたらします。
 タンニン酸は組織に対して収斂作用を有し、蛋白質を凝固させ血管を収縮させる作用があり、また多くの細菌に対して制菌作用をもちます。
 つまり消痔霊を内痔核に注入すると無菌性炎症が惹起され、大量の好中球・リンパ球の浸潤が起こり、しかも血管に対して親和性があるため、動脈の内膜炎・血栓形成・静脈炎・血管閉塞を引き起こすとされます。また、痔核内の血管以外の結合組織において、線維化が形成され、痔核の発生した粘膜層・粘膜下層は筋層と固定されて結果として痔核は萎縮消失するとされています。

(資料2:「Sclerotherapy with OC-108,4-Steo-Injection Method」)

 注射の実際ですが、麻酔は原則として局所麻酔で行います。麻酔の目的は肛門括約筋の弛緩であり、筋層へ誤って注入しないためにも強力な麻酔は不要とされています。
 使用する消痔霊注射液は0.5%リドカインで2倍に希釈して用います。
 注射療法は、四段階注射法といい、痔核上極・痔核中央部の深部(粘膜下層)、痔核中央部の表面(粘膜固有層)、そして下極の4箇所に分けて注射します。痔核の上極へは内痔核への動脈血流を減少・遮断することを目的として行われ、痔核中央部への注射は痔核本体を硬化萎縮させることを目的として行われ、痔核下極への注射は歯状線に存在するParks靭帯を癒着させることを目的とし行われます。
 投与量は上極、下極へは3〜4ml、痔核中央へは痔核の体積に加えて1〜2ml、つまり5〜8mlとなるのが通常です。注射終了後は注射により生じる硬結を防ぐため、注射部位を指先にてマッサージし薬液の拡散を促進することが必要となります。また消痔霊注射液は吸収された後に尿中に大部分が排泄されるため、術後管理として注射当日は補液にて水分を負荷し、利尿を図るようにします。
 合併症としては、直腸全層を針が穿通し、前立腺に注射した時の前立腺炎・副睾丸炎。また、注射部位が浅かったり、或いは注射量が多かった時の壊死・出血。歯状線及び肛門管皮膚に注射した時の肛門痛。注射量が不足した時の痔核の残存。針先が筋層まで刺入され注射量が多い場合の直腸筋層壊死。痔核上部への過度の薬液の注入による直腸狭窄などがあり、注意が必要となります。

提供 : 株式会社スズケン

      

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