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<スズケンDIアワー> 平成16年9月2日放送内容より スズケン

診療ガイドライン


国立医薬品食品衛生研究所安全情報部
山本 美智子

icon診療ガイドラインとは

 欧米をはじめ国内からも多くの診療ガイドラインが登場してきました。先進諸国で、保健医療改革が急速に進められている中、医療の標準化と妥当な医療費の実現に向けても、ガイドラインの有用性がいわれています。
 しかし、これまでの診療ガイドラインの多くは、主な医療機関の診療内容や専門家の経験等に基づいて作成されたものでした。
 近年、臨床から予防、さらには医療政策に至るまで「根拠に基づく医療」(EBM)が注目されるようになり、診療ガイドラインについても医療の質の向上に向けてエビデンスに基づいたガイドラインの作成・利用の推進が急速に図られるようになってきました。
 では、診療ガイドラインは何かという質問に対し、英国NHS NICEによりますと「特定の診療状況における、患者への適切な治療とケアに関する推奨とし、ガイドラインは医療専門家を支援はするが、その知識や技術の代わりになるものではない」としています。
 また、米国IOMでは、診療ガイドラインは患者も医師と共に支援するとしていますが、国内ではそのような診療ガイドラインはまだ非常に限られているのが現状です。
 なお、診療ガイドラインには疾患に対するスクリーニング、診断および治療のためのガイドラインが含まれます。

icon誰が診療ガイドラインを使うのか

 では、診療ガイドラインは誰が使うのでしょうか? その使用は、まず専門医、そして一般医が対象となっています。しかし患者にとっても、医療専門家と情報を共有できれば、治療の決定に参加することができるわけです。パターナリズム的な医師と患者の関係から、インフォームド・コンセントまたインフォームド・チョイスの重要性が認識されてきました。最近では、“Shared Decision Making”の概念が注目されるようになっています。診療ガイドラインを用いた「医療者と患者による情報を共有した上での決定」ができれば、医療の質や患者の満足度を高めるのに大変有用になってくるでしょう。

icon誰が診療ガイドラインを作るのか

 次に誰が診療ガイドラインを作るのでしょうか? 以前は、臨床専門医のグループを中心に作成されていましたが、最近は臨床疫学や生物統計の専門家も参加するようになってきています。しかし、ガイドラインは臨床医のみならず、“Stakeholders(利害関係者)”である患者、製薬会社など大きな影響を受けますので、このような関係者も参加した体制が今後検討されることが望ましいでしょう。

icon診療ガイドラインの位置づけ

 では、診療ガイドラインの位置づけはどうなっているのでしょうか? 国内では、ガイドラインの拘束力については特に規定されていません。欧米では、法的な拘束力からいえば、ガイドラインはRecommendation(勧告、推奨)より弱いか同等の位置づけで、その上にDirective(指令)、さらにその上にRegulation(規制)があります。  いずれにしても医師の裁量(Professional Autonomy)を細かく制約するものではないわけですが、医師の判断に根幹をなす指針として影響を与えることは避けられなくなってくるでしょう。


提供 : 株式会社スズケン

      

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