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<スズケンDIアワー> 平成16年9月23日放送内容より スズケン

医薬品評価の性差について


帝京大学 名誉教授
清水 直容

icon薬力学的な性差

 次に薬力学的な性差という方でございますけども、当然、現在では医薬品というのは服薬の量とかではありませんで、どのような血中濃度になるのか、また同じ血中濃度であってもそれが作用する受容体のところでの、作用の強さというものが問題になるわけであります。

(資料8:「薬力学的性差」)

 例えば、エリスロマイシンなどの代謝というのは女性の方が大、すなわち血中のエリスロマイシンの濃度は低いのでありますけれども、副作用として不整脈の頻度というのは女性が大であるという。血中濃度が低いのにも関わらず、その不整脈が大になるというのは、その血管の感受性というものがその女性では交感神経のβ作用が大であって、拡張効果が大であるというように単に血中濃度だけではなくて、その作用点における薬力学的な考慮も必要になります。

(資料10:「PK:CmaxAUC性差への影響因子推定模式図」)

 そこで、その原因としまして他に薬物動態的なことを簡単に申し上げますと、最初に申し上げました偏頭痛の薬というものはCYP1A2で代謝されていくわけでありますが、この酵素は男性の肝臓で発現が大でありますので、それだけその血中濃度が低くなる。それに対しまして、Methylprednisoloneの例で示したように、このMethylprednisoloneはCYP3A4で代謝されますので、女性の肝臓での発現が男性よりも非常に大でありますので、血中濃度が低くなる。そのような作用機序も考えられます。
 以上のようなことから、PK薬物動態学的なCmax、AUCへの性差が、これの影響の因子としましては代謝酵素の発現が、男性型の代謝酵素であるのか、それから女性型のものであるのか。その他には糸球体の濾過(男性と女性で違いますので代謝されないで腎臓から排出される医薬品などにつき)への考慮が当然必要であり、体の脂肪量、その分布というようなものも当然考えなくてはいけないわけであります。
 成長ホルモンには、女性はだいたい男性の2〜3倍分泌されておりますのに、その作用で出てまいりますinsulin-like growth factorsというものは、同じであるというのはestrogenがそのIGFの産生に影響しているということであります。

(資料12:「まとめ」)

 まとめますと、細かい治療のサジ加減のためには薬物動態的あるいは薬物力学的な考慮が必要であるということでありますが、今後日本でも女性でハッキリ血中濃度の高いという医薬品については、きちんとしたデータが必要であろうと、そのガイドラインが必要であろうと考えております。


提供 : 株式会社スズケン

      

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