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<スズケンDIアワー> 平成16年9月30日放送内容より スズケン

日本社会薬学会第23年会


北海道薬科大学社会薬学分野教授 年会長
早瀬 幸俊

iconあるべき薬学・薬剤師とは

 このように薬学教育の変革期を間近に控えた第23年会は、薬剤師職能や薬学教育は本来どうあるべきなのかとの考えの下に、メインテーマを「あるべき薬学・薬剤師とは」として開催されました。それではここでプログラム順に企画された内容についてお話いたします。

(資料2:「遠藤先生講演」)

 最初の特別講演は北海道医療大学薬学部の遠藤哲也先生が「魚介類の水銀汚染と妊婦への摂食注意―クジラとマグロを中心に」と題して、欧米で既に行われている「妊婦への摂食注意」が我が国でも厚生労働省により去年行われたが、このときキンメダイよりはるかに水銀汚染度も消費量も高いマグロが、我が国の摂食注意の対象からはずされたことは問題であることなどが明らかにされました。遠藤先生のお話には、薬剤師も積極的に関わらなければならない「食の安全」や「環境問題」について改めて考えさせられ、大変有意義でありました。

(資料3:「シンポジウムI」)

 シンポジウムIでは、「薬の安全性・有効性と薬剤師」のテーマの下に4人のシンポジストにお話いただきました。薬害オンブズパースンの八重ゆかり先生は「新薬の認可(イレッサ問題等)」と題して、新薬の承認にかかわる問題点をイレッサを通してお話しされました。立川相互病院薬剤部の奥隅貴久美先生は「新薬をどうみるか」と題して、新薬を有効かつ安全に使用するには使用する前に十分な情報収集と情報の評価、投与における適切性を科学的に見極めなければならないことなどに付いてお話しされました。
  東京薬科大学薬学部の泉澤恵先生は「OTC薬の安全性」と題して、2006年度までに薬事法の一部改正も視野に入れた医薬品の区分とリスクに着目した販売制度のあり方が検討されており、一般用医薬品の安全性に関わる要件は重要なテーマと再確認されていることなどをお話しされました。
  また、薬害エイズを考える会代表の井上昌和さんは「患者の立場から」と題して、薬害エイズの被害者としてのご自分のご体験や裁判の経緯、お考えなどを述べられ、さらに「薬の規制緩和」という利便性と経済優先の施策に対する危険性について指摘され、最後に「薬害を繰り返さないためにできること」として、かつては医療現場で薬剤師の顔が見えなかったが、医薬分業の中では、薬をチェックする薬剤師の役割が重要であり、今こそ薬剤師の役割を発揮して!と薬剤師への期待をお話しされました。4人のシンポジストのご意見やご提言は大変に貴重であり、これらの内容を日々の仕事に生かすことにより薬物療法における薬剤師の重要な仕事である薬害防止に適切に貢献できるということを確信するとともに、このシンポジウムによりメインテーマの一つである「あるべき薬剤師」の一方向を示すことができたものと考えております。
  二日目は教育講演から始まりました。教育講演の最初は、北海道薬科大学の岡崎光洋先生が「ジェネリック医薬品について」と題して、ジェネリック医薬品に関わる課題として常にあげられてきた、品質や流通あるいは情報といったポイントについての現状を整理し報告されました。
  二人目は、同じく北海道薬科大学の牧野利明先生が「サプリメントについて」と題して、薬剤師はサプリメント製造会社の宣伝文句を鵜呑みにすることなく、自らの知識と技術を駆使して真に有用な情報を患者に提供し、積極的に関わることが望まれると話されました。

(資料6:「シンポジウムII」)

  次のシンポジウムIIでは、「薬剤師教育」のテーマの下に4人のシンポジストにお話いただきました。小樽市の三ツ野薬局の三ツ野篤久先生は「開局薬局の立場から」と題して、これまでの薬学教育の内容では薬剤師になった者が自信を持って薬剤師業務を行うには不十分であり、6年制の薬学教育では調剤業務以外に、OTC薬や化粧品、サプリメントの相談・販売などに必要な教育もすべきであると提言されました。
  勤医協札幌西区病院薬剤部の三浦五郎先生は「病院薬剤部の立場から」と題し、これからの病院薬剤師には「臨床がわかる」、「社会性がある」、「専門領域を持つ」、「自己研修できる」、「医薬品評価ができる」、「応用力があり変化に対応できる」の6項目が必要であり、これら6項目の能力を持つ薬剤師の育成教育の必要性を提言されました。
 共立薬科大学の福島紀子先生は「卒後教育の観点から」、卒業後も高度な生涯教育環境を準備することは、薬科大学と薬剤師自身の責務であり、日本における薬剤師の生涯学習におけるパイオニア的存在として36年間の歴史を持つ共立薬科大学が取り組んでいる3つのプログラム、まず「薬剤師通信講座」そして「夜間開講大学院」および「公開講座」について報告されました。
 北海道薬科大学の渡辺泰裕先生は「六年制教育の観点から」と題して、北海道薬科大学が平成5年より「薬剤師養成」を教育目標としてカリキュラム改革や実務実習導入などを進めた経緯や、平成16年度からは全学年にわたり少人数による実習や、厚生労働省の薬剤師問題検討会が提出した「薬剤師として必要な能力」を基に、全学年にわたる系統的な実習を編成し、実習の形態には問題発掘・問題解決型学習法であるProblem Based Learning(PBL)を随所に取り入れたことなどが報告されました。
 四人のシンポジストにより、6年制を迎えた薬学教育の「あるべき姿」の一方向を示すことができたものと考えております。
 最後に一般演題についてですが、今回は54演題が発表されました。発表時間は演題番号の奇数番と偶数番をそれぞれ1時間交代としました。発表の内容は社会薬学会にふさわしく、多岐に渡っており、年会の最後の時間であったということもあり、多くの参加者が熱心に各演者と討論されておりました。
 次回の第24年会は関東地方を会場に、例年通り11月に開催される予定ですので、更に多くの方々が参加して、活発な意見交換の場として活用されますよう宜しくお願い致します。


提供 : 株式会社スズケン

      

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